死にたがりやの少女
*
しかしどれだけ炎が大きかろうと、相手は真の六弔花のザクロだ。
ザクロの実力は知らないが真の六弔花に抜擢される程だから凄い強いことはわかる。
……私はどうすれば良いのだろう。
無関係の男の子を巻きこみたくない。
綺麗な純粋な眼差しをした、私が捨てたものを持っているあの男の子には死んで欲しくない。
嗚呼…答えは最初から一つだけなのだ。
「……ザクロ、…私、帰ります。早く、帰りたい…」
そう言ってザクロの服を少し引っ張る。
一秒でも早くあの男の子の元からザクロを遠のけるため。
「……。…帰るか。じゃあな、沢田綱吉。次会うのは戦場だ。」
戦場だと言ったザクロのセリフに疑問を思いながらザクロは私を抱いて基地へと帰る。
「待て!」
叫ぶ男の子。
ザクロに追いつこうとする。
お願い、来ないで、殺されてしまう。
「―お願い、…来ないで」
男の子に聞こえるように言った。
涙を流すつもりは無かった。
けれど両目から溢れ出すようにポタポタと流れ落ちていく。
男の子は私の言葉に混乱し、その場に立ちすくんだのが見えた。
涙で歪む視界のせいで、後は何も見えなかった。
何故涙が出たのだろう。
私は何処かで逃げ出せて自由になり、誰かに殺されることを期待してたのだろうか。
期待なんて捨てたと思ってた。
「…………バーロー。泣くな…」
立ち止まり、私の頭を撫でるザクロ。
無器用だが彼なりの精一杯の優しさを感じる。
「……ありがとう…」
でも涙は止まらない。
「………」
無言で頭を撫でてくれるザクロ。
泣きやまない私。
「……逃げ出してお前は何がしたかったんだ?」
「…死にたかった…、…ただ…それだけ…」
「……。…俺と初めて会った時、お前が笑ったのはその為か。」
「……」
無言の肯定。
「…今も…死にたい、のか…?」
縦に首を動かす私。
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