死にたがりやの少女
*
彼は何の為に私について来るのだろう。
私について来ても利益など得られないのに…
それとも敵を倒した事で私に安心感を与えた後で捕まえて白蘭さんの所へ連れて行かれるのだろうか。
角を曲がるがまだ後ろの気弱そうな男の子は追い掛けて来る。
また次の角を曲がる。
口を塞がれる。
「…んむっ!」
「…探した。…無事で良かった。」
「……」
ザクロだった。
何故此処に?
先程安堵のため息とともに溢したセリフ。
私は何も貴方にしてあげれないのに…
「…!お前は!」
男の子が口を塞がれた私と塞いでるザクロに気付いた。
男の子はザクロを知ってるようだった。
やはり仲間だったのかと疑問に思うが、男の子の顔と口調を聞くとそうではないのだろう。
「……その子を離せ!」
「…嫌だな、絶対に離さねぇ。それと何故お前が此処にいる?」
「…答える義理はない!その子を離せ!」
「………」
何故そんなにみずしらずの私の事に必死なのだろう。
私は彼処に帰りたくない。
男の子の所に行ったらどうなるのだろう。
私は安楽死出来るのだろうか?
でも確実に彼処に帰れば寿命が尽きるまで死ねない事はわかる。
ならば期待というものを男の子に抱いても良いのだろうか?
男の子は私の期待を重いと言って受け止めてくれないのだろうか?
「……私は帰りたくない。…貴方は私を救える?」
ザクロの手を口からはがすがあっさり外れ、代わりに肩に手が回った。
手放す気はない事がわかる。
私のセリフに更に手の力が強くなる。
無意識なのだろうか。
「…渡さねぇ…」
「助ける!」
嗚呼またあの炎が額に出てくる。
綺麗だ。
ザクロに抱かれたまま男の子の額に手をのばす。
ザクロはしくじったという顔をするがすぐに私の腕を男の子の額から遠ざける。
男の子の額に触った時ボオッ!と先程のように威力が上がった。
先程よりも威力が大きい。
多分私の感情がプラスされたからだと思う。祈りに似た気持ち、私の手から伝って炎が膨らんだ。
先程のように炎の威力はすぐに消えなかった。
火のボオボオという音がしそうな程に大きい炎。
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