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死にたがりやの少女
*

「ハアハア…ゴホッ…ハアハア」

咳こんでも足を止めない。
逃げないと…
白蘭さんの追ってから逃げないと…

捕まってもきっと彼は私を殺してくれない。

逃げる。
追っ手はすぐ側だ。
捕まる
そんなことはわかりきっている。
だけど走る。
こけそうになる。
足を踏ん張り走る。

手を掴まれた。

嗚呼、嫌だ。
彼処は生きながらにして地獄だ。
行きたくない、生きたくない!

「…何やってるの?…って!何やってるんだ!」

茶色の髪の毛の男の子が現れた。
私の腕を掴んでいる追っ手の男は慌てた顔をした。
こんな弱そうな男の子に何をそんなに慌てるのだろう。

いきなり男が後方にブッ飛ぶ。

「…大丈夫かい?」

そう聞いた彼の瞳はオレンジ色で鮮やかで吸い込まれた。
額には綺麗に澄んだ炎がともっていた。

これを
「…綺麗」
と人は呼ぶのだろう。

綺麗に澄んだ炎に手を伸ばす。


ボオッ

炎が強くなった。
男の子も私も戸惑う。
炎から手を離すと炎は元通りになった。

「…今のは何だったんだ?…それより君は此処で何してるの?」

さっきの気弱そうな顔に戻り、額の炎も瞳のオレンジ色も無くなった。

「……何でもない。…では。」

少しあのオレンジ色の瞳と額の炎のことを残念だと思いながらその場を去る。
明らかな拒絶を背中に露にして…

彼はあの後その場で戸惑って居たが私の後ろをついて来た。
気付かないふりをし、歩く。


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あきゅろす。
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