短編
愛・哀・アイ(骸)
「……」
嗚呼、彼はまた違う女の人の側にいる。
私と両想いで付き合った筈なのに
前は彼の前では必死に笑顔を取り繕って、家に帰って泣いていた。
あの時はまだましだったのかなぁ。
いつの間にか私の心は何も感じなくなっていた。
今だって女の人に囲まれている彼を見ても虚しい感情しか沸き上がらない。
「……ねぇ、ライラ、あんな奴もう辞めちゃいなよ。」
綱吉が声をかけてくれる。
そうした方が良いのはわかっているの
だけど心の奥で何処か期待している諦めの悪い私がいるの…
「ごめんね、綱吉。心配かけて。ありがとう綱吉、心配してくれて。」
笑いかける私に綱吉は辛そうな顔をする。
私のせいで貴方にそんな顔させたくない。
貴方は強い人、私のせいで弱くならないで、貴方にはたくさんの仲間が居るのだから…
「…ライラっ、俺は君を愛して…」
「……ごめん綱吉。私は旅に出るわ。」
彼を忘れる為に
優しい貴方の足を引っ張らない為に
「…ライラ…?」
「さようなら、ありがとうって彼に伝えといて。」
せめて旅立つ時ぐらいは笑っていたい。
「……俺も行く!」
「駄目よ。…此処を離れたら誰が此処を守るの?」
「うっ、でもっ!」
「綱吉、今までありがとう。さようなら。いつかまた会えたら良いわね。」
さようなら、綱吉
さようなら………骸
さようなら…………私と貴方の間の愛よ
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