蒼穹綺譚
5
「ねぇ…もう行くの?ゆっくりしてきなよ。」
猫のように気紛れなくせに…
何故か今日は甘えてくる…
寂しかったり…はしないだろうな。
なんせ人形使い殿ですから。
彼の天敵は『退屈』だというくらいだし…
「そうですよ。一月[ヒトツキ]ぶりですし…」
私はディートリッヒの髪を梳きながら、悩んでしまう。
彼は彼で気持ち良さそうにされるがままになっている。
ちなみに、今度は違う悩みだ。
「うーん。大至急って頼まれちゃってるしな…」
その途端
天使のようなディートリッヒの微笑みに影が差す
「春華は僕よりヴァチカンが好きなわけ?…ふーん…。」
やばい。
完璧に拗ねてる。
ああ…。
どうしよ…。
「ディート…。じゃあ、これ置いて来たら、適当に言い訳付けて調査にでるから…。迎えに来て?」
機嫌を直してくれ…と内心は軽くパニックしてる。
ディートリッヒが
ぎゅうっと…
前から腰に抱き付いてきた。まぁ…膝枕してたから仕方ないけど。
変な誤解はしないでね?
何か…機嫌は直ったみたい。たぶん。
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