[携帯モード] [URL送信]

蒼穹綺譚




「貴方を…愛…してな…んかあげ…ないわ…」



“糸”と薔薇に隠れた鎖によって創られた


操り人形となった茨姫は


最後まで…僕を拒んだ。



「愛してるよ。春華。君は永遠に僕の愛しい操り人形。逃がしやしない。」


「…一方的な…想いは…叶わない…。ただ…醜く歪むだけ。」



何故…必至に否定するのだろうか。


私自身…ワカラナイ。



「春華…世界は既に醜く歪んでるよ?美しい君は、汚れないまま…そのままでいて欲しい。だから、この部屋に閉じ込めたんだよ?愛してるから、離したくない。」



さらさらと、漆黒の髪が流れる。


薔薇の花びらが舞い、鎖がしゃらんと高く鳴った。


僕の気持ちの揺れと共に“糸”が解けた。その一瞬に気付き起き上がった君は、僕を抱き締めていた。



「私は…貴方が憎い。全てを奪う貴方がキライよ…。」


「……」



抱き締めたまま…静かに春華の独白を聴いていた。





[闇へ][光へ]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!