蒼穹綺譚
3
「え?遅いよ。はい。完成品。」
あれ…手遅れ…?
「ふふっ。春華。良かったではないですか。全部片付いたんでしょう?」
「もぉ…早く言ってよね?そういう事は。春華はトロイよ。」
二人はバラバラに話しかけて来る。
データ解析を終わらせ、コーヒーを飲んでいるディートリッヒはぼやく。
ちなみに…ディートリッヒの解析は完璧だ。
こんな完璧に解析できるのはヴァチカンでも5人に満たない。
「完璧過ぎるデータ解析をありがとう。ディート。下手したら出戻り決定かも…。」
別に嫌味を言ってる訳ではない。
完璧すぎる解析が、のちに何を招くかなんて簡単に予想がついてしまう。
「それは騎士団としては大歓迎ですよ。春華。」
策士的な微笑みをする魔術師。
「春華。それ置いたら戻ってきなよ。僕の腕の中に。」
サラリと赤面するようなセリフを吐く人形使い。世の女性なら確実に墜ちるであろう微笑み付で。
恥ずかしいから話題を戻す。
「ディート。ちなみにコピーは?」
「とったよ?あのデータくれるんでしょ?」
……めっちゃ可愛い……
犯罪的だよ…
その小首を傾げた仕草。
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