蒼穹綺譚
1
一体、誰が評したのだろうか?
こんなに彼に当てはまる言葉。
“即ち 悪魔[サタン]が 己[オノ]が姿を 光の御使いに装うは 珍しきことにあらず”
†情報解析†
ディートリッヒ・フォン・ローエングリューン。
“騎士団[オルデン]”の幹部で、位階は8=3[マギステル・テンプリ]。
称号は【人形使い】[マリオネッテン・シユピーラー]。
何も知らないなら、彼は老若男女を問わず好かれる絶世の美貌の持ち主だろう。
だが実際は、天使の美貌に悪魔の心を宿した天才プログラマーだったりする。
まぁ、知ってる事を並べても、意味がないんだけど。
並べたくなったのには、訳がある。
極端に暇なのだ!
「ねぇ…ディート。まだ?」
ピアノでも弾くかのように、滑らかに動く彫刻めいた細い指。
『絵になる』ってこういう光景かもしれない…とか思ってみたり、みなかったり。
「ちょっと待ってよ。春華。もう少しで終わるからさ。」
1時間前から変わらないセリフ。
「うん…。でも退屈。」
仕方なしに、持ち込んだ書類を片付けていく。
もちろんイザークに手伝ってもらってる。
私にとって異端審問局員は楽じゃなかったりする。
で、こうなった経緯は、何を思ったのかは知らないが、局長が私にデータ解析を頼んで来たのだ。
曰く、プログラマーの人材不足。
「大至急頼む」と……
それを私がディートリッヒに頼んで代わりに解析してもらっているのだ。
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