夢路綺譚
2
「いいんですか?リーシャ。休まなくて。顔色が良くないわ。」
パウラは心配そうに覗き込んで来た。
以前も思ったが、たまにパウラが姉のように感じる。
「そうだ。少し位休んでいけ。汝は慌ただし過ぎる。それに公の場でなければペテロでいいと言っているであろうに…。」
頬をぽりぽり掻きながら後半は呟く。
直視しながら言えないのがペテロらしいと言えばらしいが。
「みんなが働いてるのに、私だけ休んでいられませんよ。次、アッシジに用事があるので…。」
「そうですか。あまり無理しないでくださいね。貴女はいつも…」
「大丈夫よ。パウラ。あっちでバルトロマイに会ったら挨拶くらいしとくね。私、まだ会った事ないから。」
「わかりました。では行ってらっしゃい、リーシャ。」
「うむ。気をつけるんだぞ、リーシャ。」
「また会いましょう。リーシャ。」
「またね〜vパウラ、ペテロ、マタイ!元気でね!」
私は颯爽と立ち去った。
旧友と話すのは楽しい。
能力発動時の事を知られているから不安が少ない。
…だけど…
だからこそ、いつ、災いに変わるか判らない私は…
教皇省以外では彼らと長くいられない。
恐れているのは理解し[ワカッ]ている。
彼らを失う事を。
それが、数時間前にも証明されているからなおの事。
ゆっくり…
数日かけてアッシジに行こうと思う。
さすがに今は、能力発動させた後だから体力的に辛い。
ゆっくりと
殲滅させられた
数時間前までの町を
あとにした。
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