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夢路綺譚
3



闇が死者を飲み込んだ



あんなにたくさん存在[イタ]のに



漆黒の闇に消えて行く



数多の屍人形達の



苦痛の叫びも



恐怖の感覚も



何も感じない…



虚無しかない




あの闇の子等に


安らかな眠りを…



柄にもなく…そっと祈る



「まったく…。相変わらず酷いわよね。ディートリッヒもイザークも…ワタシモ。」



不意に口から零れたぼやき


…私は…



『命を弄んでいいとは思ってない』



そういうことだろうか…?


この無意識の言葉は…。


偽善的な言葉が羅列されてゆく…私の思考の隅。


世界は…理想だけでは成り立たないのに…




綺麗な満月と…歪な月。


雲が移動し、隙間から月光が射す。


静かな夜になった。


相変わらず…悩んでばっかりだなぁ…私は。


何年経とうが、何十年経とうが、変わらない私。



……あぁ……


…私が…


…人形使いから開放し…


永眠させた人形達。


消えた人達の事は


どう説明すればよいのか…?


消えた町の人達を





カツカツ…と靴の音が響く




聞き慣れた懐かしく感じる声が私を読んだ。










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