夢路綺譚
2
「ぅん…」
私がいない事にやっと気付いたのか、微妙に起きそうになっている。
仕方ないので、もう一度試みようと近付いた。
「ほら…ディート、あ、さ?!」
「朝だよ」と言えないまま、ぐいっと引っ張られそのまま抱き枕にされてしまう。
ディートリッヒは、起きているのではと疑いたくなる程に、狙い違[タガ]わずに私を捉えた。
「ディートリッヒ!起きなさいってば!変態サディスト!」
「ハル…。僕が寝てると思って、好き勝手言ってない?」
やっぱ、起きてやがった…。
もぉ…この際だから、口調が悪くなっても仕方がないと思う。
「起きてると思ったから言ったのよ。ほんとに寝てたら違う事するから。」
「ふ〜ん。で、何で既に尼僧服なわけ?」
ディートリッヒは、ボタンを留めていない、羽織っただけのシャツにパンツという出で立ち。
気怠げな表情がなんとも似合っている。
[闇へ][光へ]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!