夢路綺譚
2
私を何の疑いもせずに受け入れてくれた女帝のため…。
相棒と呼んでくれる金髪美少女のため…。
色々と教えてくれた、あの人々のため…。
私は今1度、帝国に帰る予定だった。
その前の最後の仕事の前に………
それだけなのに
何で…??
人形使いことディートリッヒ・フォン・ローエングリューンに加えて、機会仕掛けの魔術師ことイザーク・フォン・フェンナルド・ケンプファー
この薔薇十字騎士団幹部の2人相手に……
どうしろというのだよ??
雑魚を片付けながら、内心毒づく。
50体近い人形達が、未だに襲いかかって来る。
…って、ディートは何体造ったのよ?!
こんなに追いかけ回されたなら、毒づいたって罰はあたらないハズ…
弾倉を入れ替えながら、走らなくてはいけないから、けっこうしんどい。
はぁ…
っはぁ…
ハァ…
ハァ…
最後の最後で
使いたくない……
だか、使わざる得ない
私の切り札
『来たれ!
異界より訪れし闇の子よ!
汝、今こそ力を示せ…
“闇よりの使者”よ!』
ずずっ…と異音がした
ぴきぴき…とヒビの入る音がした
人形どもが…
動きを止めた
地面から突如生えた…
無数の子供の手が
掴んだからだ
……そして……
私の呪わしき力
“神隠し”としての力が発動した。
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