夢路綺譚
3
「ハル。“糸”使って連れ戻してもいい?僕の心はイザークに傷つけられたから、ハルに癒してもらいたいんだけど?」
「お断り申し上げます。人形使い殿。一旦許可を出したら私の身体が何に使われるのか不明ですしね。それに…人形使い殿に身体を任せたら、もちそうにありませんので…」
ひとまず丁寧に断っておく。
イザークは軽く笑っているがこの際無視。
これを聞いてヒドイというなかれ。
サディストの実験道具にはなりたくないと思う乙女心をわかって。
乙女じゃなくても嫌だというと思うけどね。
「ハル…。慇懃無礼って知っている?何を連想したのさ?」
教えません。こんな明るい時間から言えるわけないでしょ?
「さぁ…?慇懃無礼ってイザークの方が合うよ?相手の神経逆撫でするの上手だもの。」
「それは誉めているんですか?それとも、貶しているのでしょうか?いささか気になるんですが…。春華…?」
「誉めているんじゃない?だってイザークだし。」
ディートは楽しそうだ。私は誉めたつもりも貶したつもりもない。
だからどっちでもいいのだけどさ。
「たぶん誉めたのよ。イザーク。貴方が言葉巧みに誘導するから、勝手に破滅していくヒトもいるぐらいだし。」
「何故か、誉められている気がしないんですが…まぁ良いでしょう。」
多少(?)不満そうだが気に止めない。
そんな風に時間は過ぎていった。
列車はどんどん景色を変えながら進んで行く。
それは…
絶望への旅路か
希望への旅路か
誰も知らない
私は…
何を求め彷徨いゆくのだろうか?
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