夢路綺譚
5
「それがブラザー・バルトロマイ。HC‐U][ハーケー・ドウオ・イクス]だよ。」
ディートリッヒの微笑みが、玩具を与えられた子供と同じ風に見えたのは気のせいだろうか?
まぁ…ひとまず嫌がらせには、嫌がらせで返す事にする。
「わざわざ兄弟だって事…教えてくれてありがと。兄弟と言えば……」
ちらっとイザークとディートリッヒを見比べる。
「…ほんと兄弟みたいな行動パターンするわよね。イザークとディートリッヒは。他に言い換えても、イザークが保護者に見えるわ。」
その後は推して図るべし。
ディートリッヒが…美貌が崩れるのも気に止めず、思いっきり眉をしかめ……世にも恐ろしい事を聞いた表情に変わった。
なんだか…呪いのようにぶつぶつ文句を言っているが、聞き取れないんで無視。
酷いというなかれ。ささやかな私の反撃を。
「そんなに仲良さそうに見えますか?リーシャ?」
彼の悪意のない質問は、ディートリッヒにとってトドメの一言だったと思う。
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