夢路綺譚
4
「アッシジよ。アッシジ。」
違う地名を言っても無意味だろうと思い、そっけなく答える。
「ふーん。奇遇だね。僕らもアッシジに用事があるんだよね。ね?イザーク。」
「ええ。それよりリーシャ。ご一緒でも構いませんよね?あぁ、あとこれを…」
恭しく出されたそれは、愛しい彼に似た人物を写していた。
「なに?これ。」
ほとんど表情の変わらないイザークが、少し口許がゆるんでいる。
ディートリッヒはディートリッヒで何を考えてるか分からない。見ていたら微笑み返されたし。
「ねぇ…何これ?トレスに似てるけど…誰?」
イザークは、リーシャの反応を楽しんでいる。
ディートリッヒは意外そうにきょとんとした。
「リーシャ。ほんとに顔を知らなかったんだね。イザークの冗談か何かかと思っていたのに。」
イザークはディートリッヒに心外そうな視線を向けている。
ディートリッヒは全く気にも止めていないが……
ちょっとは気にしようよ??人形使い殿??
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