涙
愛しくて
哀しくて
救いたい
†涙†
そう、あの子は耐えられなかっただけだった。
恋人に会いたい一心で、呼んでしまった。
私たちは、その魂の叫びに耐えられずにAKUMAを破壊していく。
「本人にしか、わかりませんよね。こんな愛しさと哀しさは。」
墓場に流れる鎮魂歌は、いったい誰へのものか。
「ハル…」
唄を止めて、無言で涙を流す私を、アレンがそっと抱きしめる。
子供をあやすかのように、とん…とん…とリズム良く優しく叩くのは、出会った頃と一緒。
「ハルは、優しすぎるんですよ。」
「アレンだって、哀しいから壊すんでしょう?」
「はい。AKUMAは哀しすぎますから…」
鎮魂歌が、世界に溶けた。
微風が、アレンの白髪と春華の薄紫色の混じる銀髪を揺らす。
「ホームへ帰りますよ?ハル。僕は、ハルと一緒に生きて行きたい。僕達は…」
「アレン」
「はい。なに?ハル。」
「私は何処までも行くわ。例えそれが、世界の果てでも。闇の中でも。AKUMAがいる限り、アレンが望む限り。」
言葉は風に溶けた。
少年は少女に、泣きそうで、でも嬉しそうな微笑を返した。
その腕に抱き、甘いキスと一緒に愛の言葉を囁く。
「春華…愛してます。例え“死”ですら、僕達を引き離せるとは思わない。」
「ありがとう…アレン。アレンが望む限り、私はアレンと一緒にいるから。ずっと愛し続けてるし、私の想いはこれからも変わらないわ。」
死の舞台に踊り出る“神の道化”と寄り添う“守護天使”
終わりまで、つないだ手を離さないで
そう願いながら、2人は茨の道を共に歩いていく
END
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