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ひぐらし*うみねこnovel
頼りない手と笑顔(嘉紗音)

「あっ」

紗音の小さな手からティーカップが滑り落ち、鈍い音に混じっていくつもの欠片が散らばった。


(またやっちゃった)


心の奥でその言葉を噛みしめて、紗音はすぐにしゃがみ込むと大きな欠片からゆっくりと手のひらに集め出す。
よくある事だが使用人としてそれはどうかと思う。
長い間仕えているがこんなに何度もドジを踏んでしまうのも紗音ぐらいなのだから。


いくつめかの欠片を拾おうとした時紗音が拾うよりも早く別の手がそれを制し、その上紗音の手のひらにあった欠片を自分の手にうつし始めた。


「嘉音くん……」


紗音は彼の名を声に出して再確認する。
嘉音は紗音の声に振り向く素振りも見せず黙々と慣れた手つきで欠片を集めながら言った。


「大きい欠片は僕が拾うから。姉さんはほうきとちりとりを持ってきて」

「あ、ごめんなさい……ありがとう」


紗音はこういう時にいつも助けてくれる嘉音に礼を言う。
いくら言っても言い足りない程の礼を。

そうして紗音はほうきとちりとりを手に戻ると細かい欠片を取り始める。
少しでも残っていたら危険が及ぶ可能性があるのでしっかりと。

「ねえ嘉音くん」

「はい」

「もし嘉音くんが失敗した時は私を呼んでね」

要領もよく落ち着いた彼のこと。そんな事は滅多に起こらないだろうが紗音は彼を助けたくそう言った。

「……ありがとうございます」

紗音には見えなかっただろうが俯く嘉音の頬はほんのり色づいていて。
欠片を拾う音だけが静かに響いていた。


後書き
紗音の失敗はいつも嘉音くんが助けてるといいよ!と思って書いたもの。
もちろん譲治さんもいっぱい助けてるといいな(´∀`*)
そしてジェシもいっぱいry
愛され紗音!

090426

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あきゅろす。
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