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ひぐらし*うみねこnovel
ずきにさんへ(嘉朱/相互)

暗い。広いお屋敷の中を夜中に1人で歩くというのはちょっとした肝だめしじゃないかと思う。
なのに何でそんな事をしているかというと、ちょっと喉が渇いて目が開いたからだった。

たとえ夜中でも使用人に頼めば水の1杯や2杯いれてくれるだろう。
けどそんな事で起こすなんてとんだ睡眠妨害だ。
あたしが使用人ならきっとそう思う。

と、1人思考を巡らせていたら廊下の先から足音が迫ってくる。
一体誰? みんなは寝ているはず。
それとも見回りをしている人だろうか。

「!」

まぶしい。視界がくらむ。

「誰ですか?」

懐中電灯はあたしをとらえてはなさない。
でも、この声は……。

「嘉音くん?」

「お嬢様……?」

やっぱりそうだ。

「こんな夜中にどうなされたんですか?」

「それはこっちのセリフ……でもないか、あはは」

彼はきっと見回りだ。

「ちょっと喉が渇いて、もう部屋に戻るところだよ」

「呼んで下されば僕が用意しましたのに」

暗くて表情は見えずいつもと同じ感情の読み取れない声。
でも彼の優しさに頬があつくなっていくのを感じた。

「そ、そんな……。いいよ、1人で出来るし」

さっきまでは迷惑と思っていたのに彼になら用意してほしいと思ってしまう自分に苦笑する。

「ならせめて、お嬢様の部屋まで送らせて下さい」

「えっ」

どくん、と胸が高鳴るのを感じた。


「さあ、行きましょう。お嬢様」

「ま、待ってよ嘉音くん!」

あたしの前を歩き出す彼にあたしは急ぎ足で歩を進めた。

広いからといって部屋までの距離なんて短いし、周りはとても暗いけど。


まるで、デートの帰り道みたいだね。


そう思って頬が緩んだ。


後書き
相互記念にずきにさんへカノジェシを捧げます!
嘉音くん大好きな朱志香の気持ちが伝わってたらいいな(><*)
良かったらもらってやって下さい!

090402

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