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ひぐらし*うみねこnovel
今はもう1人じゃない(詩+沙+梨)

「みぃ。かぼちゃがいっぱいなのですよ」

「当然です! 沙都子にはかぼちゃを大好きになってもらわないといけませんから!」

私は梨花ちゃまの家にお邪魔していくつもかぼちゃ料理を作っていた。
たまには2人にかわって私が料理を振る舞おうと思ったからだ。
だって仮にも沙都子を任せられたんだもん。
なのに沙都子といったら家にいなくて今は買い物に行ってるんだそうだ。
もう、タイミング悪いなあ、なんて私の勝手かな。

「これで沙都子もかぼちゃが大好きになりますです♪」

梨花ちゃまの言葉に私はえへん、と胸をはった。
と、同時にドアが開く音がして沙都子の帰りが告げられた。

「あ、帰ってきたのですよ。沙都子ー」

その音に敏感に反応した梨花ちゃまは玄関に向かって駆けて行った。
帰ってきた沙都子に遅いですよ! の一言ぐらい言ってやろうと思ったら梨花ちゃまの慌てる声が聞こえてきて私は戸惑ってしまった。
え、どうしたの?
すぐに玄関に向かおうとしたら2人は部屋まで入ってきていた。
心配そうな梨花ちゃまに対して無理矢理微笑んでいる沙都子の表情は痛々しかった。
「どうしたんですか!?」

「みぃ。沙都子が足を擦りむいててちょっと驚いただけなのです」

「そうですわ。このくらい何ともありませんもの!」

そう言った声色に何ともないですねなどと頷ける訳がない。
今にも崩れてしまいそうなその笑顔。私には分かる。

「村の人とぶつかったんですか?」

「え、ええ。それだけですわ」

しかし沙都子の表情からはぶつかって痛いというよりも他の痛みの方が勝っているようにしか見えなかった。

「謝ってもらえなかったのですね」

梨花ちゃまの諭すような言葉に沙都子ははっとうつむき気味の顔をあげる。
無言だがそれは肯定しているようにしか見えない。

「まだ、村の人達は沙都子を毛嫌いしているんですか!?」

またも続く2人の無言。

「……っ」

信じられない。
一体沙都子が何をしているというの。
私の手は自然と沙都子の背中に回っていた。
ふわりと頭を包み込むように抱きしめる。

「しっ詩音さん、どうしましたの?」

「沙都子には私がついてますから」

言って腕に力を込める。
ぎゅっと裾が握られるのを感じた。

「ねーねー……」

「ボクがいるのも忘れないで欲しいのですよ!」

「り、梨花っ!」

小さな体で沙都子に飛びつく梨花ちゃま。
私の肩が湿るのを感じた。

大丈夫。今は私や梨花ちゃまだってみんながいる。
もうあなたは1人じゃないんです――。







あとがき
書いたのはだいぶ前です;
詩ぃちゃんも梨花ちゃんも沙都子の事が大好きだよね!と思いながら書きました(><*)
それから詩ぃちゃんはこうやって時々2人の家に遊びにきてたらいいです。笑

090804

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