零のイライラ 11 イライライライラして リンゴを手にうさぎの隣に座り、これ見よがしに丸いリンゴをかじる。 シャクシャク… 「零?またそのまま食べてる。ちょっと待ってて。」 思った通り、うさぎがリンゴを剥いてくれる。 いつも皿に乗せられたのを摘まんで食べるのだけど、うさぎが持っているのを直接口に入れる。 うさぎが その向こう側の晃が固まっている。 お前がムカつこうが知ったことか 次のリンゴもうさぎの手から食べる。 「いい加減に…」 押し殺した声で晃が言い出すが、その言葉は最後までは出てこなかった。 見ると晃は、手を握りしめて、顔を赤くしたり青くしたりしている。 お前たちがSEXしてたのを聞かれたことに気付いたか? それで、文句を言いづらくなったのか? ふふん。 「うさぎ。次、あ。」 うさぎが晃を気にしている。 当たり前か 「零〜自分で食べようよ〜」 抗議の声をあげるうさぎの耳に口を寄せる。 見せつけるように髪に顔を埋めて 「昨日は、俺の言ったとおりにしたら、うまくいっただろ?だから、今も…もうひとつリンゴを剥いてみろ。」 うさぎは顔を真っ赤にさせて、頷くとまたリンゴを剥く。 晃を見ると、口をパクパクさせている。 どうしたらいいか わからないって顔だな その顔をみて、寝不足分の俺のイライラが少しだけ薄れたのを感じると、またうさぎの手のリンゴを口に入れる。 「…うさぎ…ちゃん!」 ズズズ… 晃が椅子を寄せてうさぎに近づいてくる。 「うさぎちゃん…俺にも…リンゴ剥いてくれる?」 「……うん。」 「あ〜ん♪」 うさぎは少し驚いた顔をしたが、イソイソとリンゴを剥いて、恥ずかしそうに晃の口にリンゴを差し出す。 「ん〜おいしい♪うさぎちゃんが剥いてくれたせいか、リンゴがいつもよりおいしく感じるよ〜」 想定範囲内の晃の行動だが…俺のリンゴを食べられたせいか、ひどくムカつく。 今まではうさぎが剥いたリンゴは100%俺のだったのに 今12.5%が晃の口の中にあり、その後も剥かれたリンゴは交互に口に入れられる。 イライラする イライライライラ… 晃の口へリンゴを入れてやるうさぎから目を逸らすと、ニコニコしているはるかと目が合った。 ニコニコニコニコ…… 何故はるかは 俺を見てニコニコしてるんだ? おしまい [*前へ] [戻る] |