帝白物語 第2章
revival
「ほら、車に乗れ。」
景吾は学校まで送ってくから、と車に乗るように促すけど…
「い、いぃ!私自分の足あるし!」
だってだって…何か恥ずかしくない?
いまさらだけど普通の車ならまだしも…リムジンだよ?
…最初は送ってもらったけど。
もう体だってバッチリ元気だし、大丈夫だよ。
「いいからさっさと乗れ。」
「ぎゃ!」
腕を引っ張られて車に乗せられた。
そのせいか女とは思えない位の間抜けな声を出してしまいました…。恥ずかしい。結局私に最初から拒否権なんて無かった。忘れていた。今私の隣にいるのは『俺様、何様、跡部様ー』の方だっていう事を。
「お前あんま無理すんなよ。」
「しないしない」
私の返事が気に入らなかったのか、頭を殴られた。
…痛い。昨日はあんなに優しかったのに、やっぱり夢かな?すっと左耳に手を添えるとやっぱり昨日の出来事が夢じゃないいう事を物語っていた。
「…景吾って好きな子いないの?」
「ハッ愚問だな。」
…私何急に訳わかんない事聞いてんだろう。…馬鹿じゃん。
「…まぁいいよ」
「そのうち分かる。」
…どういう意味?やっぱりいるって事!?
「ちょ、それって…」
「ほら、着いたぞ」
私が聞きたかった事は景吾の言葉に虚しくも掻き消された。
「ぁ…ありがと」
「じゃあな」
何だか悔しい気持ちになったが仕方なく車から降りた。
景吾にしては気を使ってくれたのかあんまり目立たない所に車を止めてくれたらしい。
ドアを閉められ、車は発射し私の前から姿を消して行った。
校門の前まで歩いていくと、葵がいた。
葵の話しかけようと走ろうとした時、私は今までと違う彼女の表情を見てしまった。
「国光ー、おはよう!」
「葵か…。」
葵が手塚に話しかけていた。それも目茶苦茶可愛いのだ。
別に葵がめかし込んだりしている訳では無く、ただなんとなく乙女の顔なのだ。
「いつも眉毛に皺ばっか寄せてんじゃねーぞ!」
「男勝り過ぎるお前に言われたくないな。」
手塚が…普通に葵と喋ってる。それより、葵と手塚って知り合いだったんだ。
最初に質問した頃からおかしいと思っていた。でもやっぱり手塚を好きなんだと、思う。
なんか不二とか精市と話すときと全然違うもの。分かりやす過ぎる位。
私が微笑ましく見ていると肩にポンっと手を置かれた。
「ひっ!」
「何ひとりで笑ってんの。」
私の肩に手を置いていたのは…まさかまさかの1年レギュラーのリョーマ君だった。
「ごきげんよう?」
「…ぶっ。何それどこの挨拶」
わ…笑った。リョーマ君が笑った。何か…微妙に嬉しいかも。
「そういえば退院おめでとう。」
「あ、ありがとう。」
「何かアンタがいない間うち大変だったよ」
??
テニス部の事かな…。
でも、実際私がテニス部にいて役に立ててるかって言ったらそんな事無いと思う。
リョーマ君にしては心配してくれたっていう事かな…?
「歩かないの?置いてくよ」
「ちょ、待って!」
「本当…飽きないね、アンタって」
第二の景吾を見てるような気分。しかも先輩に向かってなんて口調よ。
とか言いつつリョーマ君は3年の階段まで送ってくれた。
リョーマ君とバイバイして教室に向かうと葵が待ち構えていた。
「太陽ー、おかえり」
「葵ーっ!」
私と葵は周りの目など全く気にせずお互い抱き合った。
「…待ってたよ」
「ただいま、今日からまた葵に会えるね」
「…太陽なんか変わった?」
葵にそう言われるも私は何もしていない。でも…
「何か明るくなった」
そう言われればそうかもしれない。今までに比べて気持ちが軽いのは本当だから。
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