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帝白物語 第1章
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ようやくシャワーを浴び終えた私はクローゼットに掛かっているワンピースに着替えて景吾に言われた通りに広間に向かって歩いていた。


「太陽様おかえりなさいませ」

すれ違うメイドさん達にそう声をかけられても私は「ありがとうございます」としか言えなかった。

広間と言ってもまだこの家に慣れていない私には迷いそうな場所にあった。

やっとついたと思って扉を開けると…エラソーにソファに座っている景吾と眼鏡をかけた肩までつく位の髪の長さの知らない人がいた。

景吾と同じ制服を着ているという事は同じ学校なんだろう。

青い髪がカーテンの隙間からさす太陽に透けて綺麗なのが彼の第一印象だった。

「めっちゃ可愛え…。」

「お前は見て早々何言ってんだ」

何か一瞬のコントみたいのが見れた気がする。


「太陽、こっちに来い」

広間に入って早々私は景吾の隣に腰を下ろされた。

座ったと同時に暖かいであろう紅茶が私の前のテーブルに置かれた。

「ありがとうございます」

置いてくれたメイドさんに言うとペコっと頭を下げられた。


「太陽、コイツは忍足侑士。氷帝(ウチ)の天才だ」

「どーも、太陽ちゃん」

氷帝といえば『跡部景吾』しか今まで知らなかったけれど青学のマネージャーになったのだ。他のチームの事も知らなくてはならないと思い、調べた時に…見たかもしれない。


「はじめまして。鏡見太陽です!よろしくお願いします」

挨拶はちゃんとしなくちゃね。

「天使の様な笑顔やな」

「お世辞はいらないです!」

「ほんまの事やのに」

忍足くんって低い声してるのに口から出る言葉は甘いんだぁ。

ふーん。マネージャーメモに足しておこう。(いらない情報)


景吾がため息をついて忍足くんに向かって言葉をはいた。

「これで満足か?」

「あぁ、おおきに。なんとく分かった気ぃするし」

二人のよく分からない会話に私はついていける訳もなく取り残された。

「…何の話?」

「いや、こっちの話だ。気にすんな。」

とか言われたって私には納得出来ない。

私をダシに使ったりしてんなら理由だって気になるに決まってるんだから。

「気になるに決まってんじゃん」

「だから気にすんな」

「はぁ!?なら私を使ったりしないでー」

この光景を忍足くんはただ目をパチクリして眺めていたという。本人情報だけど。


忍足君の帰る時間になった頃ようやく私たちは時間に気付き言い合いをやめた。

気付くまではもちろんずっといい合っていた。


「太陽ちゃん、今度一緒にご飯でも行こうな」

「はい!是非とも」

私の言葉の後に続く景吾の言葉は何故か殺気立っていた。

「忍足…」

「あかん、跡部が怒ったら敵わへんわ」

「分かったらさっさと帰れ」

「…おっかないわ。ほなまた」

忍足くんは景吾が用意してくれたらしい車に乗せられて帰っていった。


なんか…天才の称号をもらってる人って常に落ち着いてるよね、ウチも不二とか。


別れを名残惜しく思っている暇も無く景吾に恐ろしく低い声で「話がある」と言われて景吾の部屋に連れていかれた。























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