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帝白物語 第1章
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かすみさんは時間になるとまた仕事へと行ってしまった。

相変わらず…忙しい人。

それに優しい人。

私には無い魅力で溢れている。


玲也が生きていれば私も、輝けたりするのかなぁ。

なんて…私最低だ。





「久しぶりに…やってみようかな」

私は部屋に戻ってラケットを握った。

私も逃げてばっかりなんて嫌だ。

精市、私は玲也が生きてるなんてやっぱりそんな可能性0に近いと思う。

それでも…少しでもあるなら。


「やってみるよ。」


私は敷地内のテニスコートへと走っていった。








久しぶりに着るウェアは妙にフィットしていた。

まるで私が着るのを待っていたようだ。

「懐かしい」


1年振りというだけでこんなにも懐かしく思うものなのだろうか。


そう思いながらも心は不安と希望でいっぱいだった。


これからもテニスをしていいかもしれないという希望と。

また苦しくなってしまうかもしれないという玲也の事の不安。



でも景吾や精市を見ていて、いつまでたってもおんなじ場所にはたっていられない。


「はぁ!」

―バン―


思い切りサーブを打ち付ける。


「…落ちたな、私も。」

『太陽…』

「!?」

『俺もテニス…やりたい』

「ゃ…。やめて…玲也」

急に頭の中に玲也の声が周り始める。

やっぱり私には…











玲也を置いてテニスなんてできないんだ。
























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