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帝白物語 第1章
GAME3


試合は開始された。


リョーマは一発目から攻めに入った。


河さんに前に出るなと言われたのにそれを何も聞いてないかの様にネットに近付く。


「あれだけ言ったのに…」
河さんが頭を抱えているのはわざわざ目を向けなくても分かる。

そしてリョーマ君は見事に新技を完成させた。


至近距離からのドライブボレー。


「ドライブA」


リョーマの打ったそのボールは見事に亜久津の顔面へとジャストミート。


「今のは石を当てられたカチローの分!」




…何ていう度胸の持ち主なんでしょうか。


リョーマ君には驚かされるばかりだ。


それは私以外のみんなも一緒のようでア然としていた。



「もう逃げらんねぇぜ、小僧」


亜久津は今のも含め少なからずやはりカチンと来たのだろう。(いつも機嫌悪そうだけど)



亜久津ってさ…なんか…可哀相だよ。


「…テニスを何の為にやってるかなんて分からない人に…勝てる訳無い。」

「…太陽?」

不二が私を気にするも私はそれに気付くこともなくただ二人のプレーを見ていた。



亜久津は先程と違って体制を変えていた。


アレは何の…?

リョーマのサーブは右手で打つツイストサーブだった。

だがそれも虚しく綺麗に亜久津はリターンをする。


亜久津のあの目は…

貴方は何を見て

何の為にこの試合を

しているの……?



―バン―



「リョーマ君!?」


今日も来ている1年の桜乃声にハッとして私は二人に気を集中させた。


リョーマをみると亜久津にボールを顔面に当てられたのか彼の体は倒れていた。


「ねぇ……1ポイントも取らせないんじゃなかったっけ?」


リョーマ君の口から出た言葉は得点したからこそ言える言葉のものであった。


ボールは見事に亜久津のコートに落ちていたのだ。



「自分をターゲットにしてあらかじめ顔の前に用意しておいたラケットに当てる…か。」


リョーマ君だから出来た。


リョーマ君はどんなピンチに対しても必ず成長をして相手に勝ってきた。



彼のプレーは私の心を…揺さ振る。


「…リョーマ…君」

「まだまだだね」



私もリョーマ君みたいに…素直にテニスを










楽しめたらいいのにな。



















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