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帝白物語 第1章
GAME1

私はようやく目的地に辿り着く事ができた。

既に試合は始まっていて大奮闘の状態。

今は桃と千石の試合中だ。


「竜崎先生…こんにちわ」

「太陽!?」

私はフェンス越しに先生にとりあえず挨拶を。


周りの青学メンツもどうやら私に気が付いたようでざわめきだした。

「お前…どうして?」

「今日は許可がおりたので…」

「そうか…。無理はするなよ。」

「お見舞いにも来てくれなかったのに…?」

「……おっと、今は試合中だ。静かにしておくれ。」


…逃げやがったな。


まぁ、いいや。

今は桃を応援しなくっちゃ。


「桃……ってギャー!」

私の悲鳴の原因は飛び付いて来たコイツ。


「菊ちゃん!?」

「太陽〜!良かったぁ…心配してんだよー」

「あ…ありがと」


菊ちゃん…!

何て可愛くていい子なの!

弟にしたいよね…。


「太陽、試合見に来てくれたんだね。」

次に声をかけてくれたのは不二だった。

裕太くんの次は不思議な空気を漂わせている兄の周助かぁ。


「マネージャーだもん。大切な試合だし。」




「太陽先輩来たんスか。」

「リョーマ君も何か菊ちゃん見習って可愛い事言いなさいよね」

「……。」


黙られるのはそれはそれで辛いわ。


そこまでクールじゃなくったっても…(泣)


「手塚!この前はありがとね」

「あぁ、気にするな。」

「…もうすぐ復帰するからね!」


手塚はもう冷静に試合を見始めてるよ。


ってか私も見なきゃいけないのよね。



「太陽も…。」

大石にも注意されて乾と河さんには挨拶する事は出来ないまま試合観戦に。



……??

ちょっと待って。



桃…もしかして足!




「足がケイレンを起こしてる。」


あの状態では完璧に桃が不利になってしまう。

相手は情報によるとジュニア選抜の一人だとか、その相手に足のケイレン、この状態からは桃の勝利の確率は低くなってしまう。


「それでも、やるよ。桃先輩は。」

「リョーマ君…。」


リョーマ君は相変わらず表情は変えずにファンタを飲み続けている。


桃と千石の試合に目を戻すとやはりどんどん足のケイレンは悪化していくばかり。


リョーマ君の言う通り。


きっと桃は大丈夫。


何が何でも試合に勝ってみせるはず。


それでも…不安な気持ちに変わりはない。


悔しいが今の自分には桃を応援する事しか出来ないのだ。

「桃…!」


(お願い…頑張って!!)




相手の千石は運だけではなく確かな実力はある。


「桃っ!頑張ってよ!!」




その声はどうやら桃の耳に入ってくれたよう。



「太陽先輩…!はは…先輩に言われたら…負けらんねぇ、負けられんねぇよ」






―ダンッ―


桃は右足だけでジャンプした。


「な…右足で…?」

「桃…まさか」

乾はここぞとばかりにノートに桃の情報を書き記していく。


なんと早い手捌き!


この早さはさすがに乾に勝てそうではない。




「俺は強い!!」



―ジャックナイフ―



それはバッグハンドの高等技術。


中学生が打てるような球ではない。




千石は早い球にもすぐに追い付き打ち返そうとしていた。
















―カラン―



それは桃の球によってふさがれた。


千石のラケットが弾かれてしまったから。


















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