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帝白物語 第1章
permission4

「…どうぞ。」

「ありがとう!行ってきます。」


帰りの交通手段など考えないで私は孟ダッシュをして車から走り去った。


………あんな高級車から出てこられる程私金持ちじゃないし?


とにかく早く行きたいし。


全速力で走るよね。







人にぶつからないように避けて走っていたにしても……やっぱり私。


期待を裏切らずにぶつかるんだよ。



―ドンッ―


「いっ…!!」

「って…!」


ぶつかった相手は私のタックルが効いたのか、かなり痛い様子だ。

彼はどこかのプレーヤーなのだろう。

テニスのユニホームを着ている。


…そして、どこと無く誰かに似ているような。


クリーム色の綺麗な髪色。短髪なのは…ちょっと違うけど。


私は謝りもしないでとにかく聞いてみた。


「どこかで会った事ある?」

「……は?」


相手はもちろん訳が分からず頭にはてなを浮かべている。


おぉ!!

名前を聞いてみた方が早いんじゃ…。



「…お名前を聞いてもよろしい?」

「訳のわかんない奴だな…。不二裕太だよ」



キャー!!


会いたかったのよ、貴方に!

クリーム色は不二の兄弟だったからなんだね。


「裕太くん?」

興奮を抑えてもう一度目の前の彼に名前を尋ねてみる。


「そうだけど…」

最ッ高…!!

「もう少し早く来れれば…」

「?」

「裕太くんのプレー見たかったわ!」

「えっ!?」

検査が早く終われば!

あの先生がもっと早く診てくれれば!

貴方のプレーを見れたのに…。


裕太くんは私に何か言われる度に面白い反応をしてくれた。

…かなりからかい甲斐がありそうだ。

兄の不二とは大違い。

私は裕太くんのが好みだわ。

「私、青学のマネージャーなの。」

「…だからその制服なのか」

「そういう事!」

「今から一緒に…」

「あぁ…悪い。まだ試合残ってるんだ。次こそ勝たないと。」


私の言葉は最後まで言い終わる事はなく初の逆ナン終了。


断られる男共の気持ちが今ならかなり共感できる。


「…アンタも行かなきゃまずいんじゃないか?」

「…確かに。」

「冷静だな、おい。」


いえいえ、とんでもございません。

何か感激の出会いについ忘れてた…的な感じ?


「…ってそうだよ!行かなきゃ!」

「じゃあな。」

「うん、また会おうね!」


やっと会えたと思った裕太くんとの時間は直ぐに過ぎ去ってしまいました…。


さぁ青学のコートに向かわなくちゃ。


青学のメンバーに会うまであと3分。

一体試合はどのような状況になっているのか…。


私に今出来る事はただ足を進める事だけ。


待っててね…。













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あきゅろす。
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