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帝白物語 第1章
びっくりなお城

「おかえりなさいませ。」

お城の中に入ればたくさんの人が右にも左にも並んでいて私には驚く事しかできなかった。


「ただいま。今から挨拶しに行くよ?」

「は、はい!」

今日は私にとって人生で一番びっくりがある日だと思う。


かすみさんに着いていくだけの私は一体どんな顔をしていただろうか。多分日本一マヌケな顔をしていたに違いない。


―コンコン―

「失礼します」

私もそれと同時に失礼します、と言う。一応礼儀はきちんとしなければ。


「たっだいま!」

そう言った瞬間かすみさんがダッシュで机に座っていた男性に抱き着いた。これで彼はかすみさんの旦那さんだとすぐに分かった。

私も抱き着きはしないが、歩いて旦那さんの目の前まで行って一礼をする。

「こんばんわ。これからお世話になります。」

かすみさんは何も恥ずかしがる事はなく抱き着いたまま。旦那さんの方もたいしてそれを気にする事もなく。私に告げた。


「こんばんわ。こんな家で気に入らないかもしれないけれど色々とよろしく。」

「気に入らないなんて、とんでもないです!本当にありがとうございます。」

「可愛いね。明日から学校じゃいきなり過ぎるから一応見学程度に行ってきなさい」


最初の可愛いね、にびっくりしたがそこには触れずにおこう。学校は明日は見学。確かにそれが良いと思う。急に行っても慣れる訳が無い。

私は言われた事に納得し承諾する。

「私にも君と同じ年の息子がいるんだ。ぜひ仲良くなってほしいな。」

確かそれはかすみさんに聞いた話。夫妻揃って同じ様に口を揃えて言うなんて、一体息子とはどんな奴の事を言うのだろうか。

「きっと太陽ちゃんの事、気に入るハズよね」

…ん〜!
って事は彼は
優しいって事かな?


そんな事を予想していた。

私は今思えばこの時の自分は馬鹿だった。

そう思うなんて知らずに一人で想像して…私は本当に馬鹿だった。



今日は取り合えず寝ることになった。部屋への案内はメイドさんがしてくれるらしいので私はついて行く事に。


おやすみなさい、そう伝えてその広い広い家の中の社長室、みたいな部屋を出た。







太陽が出て行った後部屋に残された二人はこんな事を話していた。

「彼女は本当に母と父に似て綺麗だね。」

「本当、ったくあの馬鹿夫婦はどうしてあんなに可愛い娘を置いてくのかしら?」

確かに、と納得するように相槌を打っていたのは言うまでも無い。

「だけれど、太陽ちゃんを預かると聞いて喜んでいたのは君ではないか。」

「あ…やっぱりバレた?当たり前じゃない。もうこの体じゃ子供を産む事は二度とできないんだもの。」

悲しい話をしているのに彼女は本当に嬉しそうに話す。

太陽は本当に心から受け入れられていたのだ。なんとも幸せな話か。
太陽はここに来れた事を深く感謝すべきなのだろう。




あの跡部景吾に会う事になるのはまだちょっと先の話になるのだった。











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