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帝白物語 第1章
friend3


「太陽、起きて。」

「…んっ。まだ眠い。」

「…襲われたいの?」

「!?」

聞き慣れない声に、この口調、私は思わず飛び起きた。


目の前にいるのはいつも見る人物ではなく、隣の住人さんの精市だ。


「…紛らわしい事言わないでよ」

「いくら呼んでも起きなかったからね」

「だからって…」

「ほら、朝ご飯だよ。食べよう。」


私のテーブルの上にも確かに朝ご飯が既に置かれていた。

これもあの看護婦が運んだのか…。


…看護婦といえば……精市は看護婦とご飯食べなくていいの?


「なに?看護婦さんとは食べないから」


私の気持ちを呼んでいたのか、声に出そうとした自分が馬鹿馬鹿しく思えた。

「エスパー?」

「顔に出てるから」

「……」

精市って本当に何者?

テニスも相当だけど…マジの超人だ。


「いいから食べる」

「…はぁい」


少し所か、かなり気に食わないがもう諦めというやつ負けていた。


朝から食べる病院食はやっぱりすごく美味しくはなく普通に完食した。


「太陽は…何者?」

「……はい?」


私が精市に聞きたい事だよね、うん。

しかも…なんの事を言っているのかサッパリ。


「うちの部員と直ぐに打ち解ける事が出来て…そしてあの…」

「……?」



その続きは何なの…?


「いや、あの仲良くなりにくい奴もいるメンバー達とよく仲良くなれたと思っただけだよ。」


「みんないい人だったからね。私も嫌いじゃないよ。」


精市の言いたかった事は本当にそれだけ?


絶対に何かを途中で言い止めた。


でも、言いたくないなら私は別に無理に聞き出そうなんて思っていない。


だから聞かないだけ。








―バンッ―


「太陽!!」


突然勢い良く開いた扉を見ると……壊れかけていた。


ドアをそんな事になるまで力いっぱい開けた人とは、今ここにいるハズの無い人物だった。


「え!?どうしたの、葵!」

「お友達みたいだね、太陽」

精市も驚いて………なかった。


ドアが壊れかけてるんだよ!?しかもその犯人が女の子だよ?



もう…何を考えてるのかサッパリ。


「太陽、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。見ての通り。」

「良かった〜。昨日部活があってこれなくて…」


「そうだよね、ありがとね。葵。」

「全然!ってか男子のやつらが悲しんでたよ。太陽がいないと大変だって。」


テニス部の事だよね?

私がいなくて?

でも今まで熟して来てたんだから別に大丈夫なはずじゃ…。


「太陽に頼りきっていた事を思い知ったんじゃないかな?アイツらも。」



「私は当たり前の事をしてただけなのに…。」


「その太陽が凄かったんだって。」

「マネージャーだもんね」


お互い何だか笑った。


葵と久しぶりに会った感覚。

女の子の声ってやっぱりいいよね。


別にレズってやつではありません。


「そういえば…君学校は?」

精市が最もなことを葵に聞いていた。

今の時間はもちろん学校だ。

今日は平日だからそれは確実な訳で…。


「だから、太陽の事を聞いて飛んできたんだよ!」


「…学校は?」

「あぁ、サボりだよ」

すごい度胸だね。


でもそこまでして私に会いに来てくれたのは何だかんだで嬉しい。




「隣にいるのは…誰?」

今更何かと思えば精市の事。

誰?…って葵ー!


「幸村精市。よろしく」

精市は葵の前に手を差し出す。


「あぁ…。あの幸村?」


『あの』…ってどういう意味??

幸村が差し出していた手を引っ込めた後、口を開いた。

「あの、っていうのは俺の病気の事?」


あ…。葵が言っている意味はそういう意味なの?






ううん、違う。

葵はそんな事はしない。


「違うよ、立海の部長としての意味だよ。」



ほらね。

葵は精市をそんな風に思ってなんかいなかったでしょ。



葵は精市の差し出していた手を引っ張り握手をした。


「私は青学女子テニス部の部長の葵だ。よろしく」

「男勝りなんだね」

クスッて笑ってるけど…すんごい喧嘩売ってるよね?

精市君…!!


「余計なお世話よ、アンタの事は青学が倒してくれるから大丈夫!な、太陽。」


「それはもちろん。…特に、生意気ルーキーには気をつけてね」


「…ご忠告どうも」


「ふん、負ける気ないって顔してるよ。」

「葵も十分ね。」


葵の裏表の無い性格が気に入ったのかもしれない、精市は意外とすんなり葵と打ち解けた。


「あ…っと、そろそろ学校行くわ、今なら寝坊で済みそうだし」

「うん、ありがとね。すぐ学校行くから!」

「待ってる!じゃあね、太陽、それに幸村ー!」


葵は…嵐のようにやってきてそして鮮やかに去っていったのだった。















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あきゅろす。
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