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帝白物語 第1章
bygone3


次に私が目が覚めた時には病院だった。

どうやら周りの誰かが救急車を呼んでくれたらしい。


私も気を失ったらしく事故の後の事は何も覚えていない。



さて、私はどれだけ眠りに着いていたのだろう?



それに玲也…


玲也は……?



私を見た母は疑うような目で私を見て動きがピタリと止まった。


「太陽…?」

そして私を確かめるように体のあちこちを触っている。

「……。」

それに対して私はほぼ無反応でただぼーっとしていた。


「目を覚ましたのね!」



口から出る声は泣きそうな位震えていて今思えばどんなに不安だったのだろうかと思う。

でもその時の私には何が起きたか頭を整理するのでいっぱい、いっぱいで何が何だかよく分からない。



「お母さ…ん。玲也…玲也は?」


その名前を聞くとお母さんを私の頬を両手で包んでゆっくりゆっくりと話し始めた。


「気をしっかり持って」



この時とにかくいい話では無い、という事だけは分かった。


お母さんはちゃんと事実は伝えてくれて、それを背負って生きていけ、という生き方の人だから。




「玲也くんは生きてるか死んでるかも分からない。」



お母さんは私の反応を見ながらまだ続ける。


「お母さんが玲也くんのお母さんに連絡しても繋がらない。もう分からないの。」










なに…それ。









生きてるかも分からない?










でも明らかに…





こんな事を考えるのは嫌だよ!!



嫌だけどっっ!






あんな血を大量に失って腕も足も体も全てボロボロで……












生きている可能性の方が少ない。








「太陽っ!しっかりしなさい!」



なにを…?



どうして?



だって玲也がいないんだよ?





「玲也くんの生死が分かるまで希望は失わないで!」





生死…


お母さん?



なら聞きたい事があるの。





その生死が分かってね。








もしその結果が「死」であった場合は…?











私はなにを 支えにしていけばいいの?







私が奪ったんだよ?



玲也の大好きなテニスも全国の夢も友達も大事な大事な…未来も…。






ねぇ!!



私は一体どうやって償えばいいのよ!!








「うわぁあああ!」







お母さんは私を抱きしめて私が泣き止むまで一緒に泣いてくれたの。





玲也…
ごめんなさい。

玲也、ごめんなさい。








私はこの時決めたんだ。




私ができる事なら玲也が失ったものを私も失おうと。

















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あきゅろす。
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