帝白物語 第1章
immensely5
「うぅ〜。ここどこだろ?」
竜崎桜乃です。試合を見に来たんだけど…迷ってしまいました。
「スミマセン、男子決勝はどこのコートでやってるんですか?」
ついつい目の前にいる女の子に聞いてしまいました。
「男子の?私も今から見るんだけど…」
目の前の親切な女の子が話している途中でした。
今話題になっているあの先輩が…
「あ!青学の子だぁ〜!どうしたの?」
話しかけてくれました。
「あ…。太陽先輩」
この方はなんと今まで誰もマネージャーを取ろうと思っていなかったのに、テニス部の方々みなさんが認めたあの鏡見 太陽先輩だったんです。
「あ、お友達といたのに…ごめんね。」
目の前の子を友達と思ったみたいで謝ってくれちゃいました。可愛くて綺麗で細いのに筋肉もあって……リョーマ君とも仲良しの…誰もが憧れの先輩。
クラスの男子みんなも「可愛い」って言ってたんですから。
「私橘杏っていうの。よろしく」
杏ちゃん、という子が私と太陽先輩に挨拶をしてくれました。
「えっ!もしかして…」
「ムッツリ橘の妹です。」
…??
話が見えません。
一体どうなっているんでしょうか?
戸惑っている私に気が付いてくれた太陽先輩が私に説明をしてくれました。
今青学が試合してるのが不動峰でその学校の部長が橘という人。そして杏ちゃんが橘という人の妹だ、という事を。
「あれ?桜乃ちゃんは試合見に来たんでしょ?」
え…?
何で私の名前を…。
????
「私も行くから一緒に行こう?」
私が疑問に思っている暇もなく杏ちゃんが私を誘ってくれました。
今日は何だかとても幸せな日です。
私はこんな幸せでいいんでしょうか?
「あー!ドリンク作らなきゃ…」
太陽先輩はもっていたスポーツドリンクの入れ物を見て叫んでました。
意外と明るい先輩だ。
性格悪い先輩じゃなくて良かったぁ。
じゃなきゃマネージャーになんてなれないですよね。
「案内するからちょっと待ってね?」
太陽先輩は水道に向かって急いでスポーツドリンクを作ってました。
そんな姿もまた可愛いんです。
「あの人…どこかで…」
「え??」
「あ、何でもないよ!」
杏ちゃんは何かを言っていたけど私には聞こえてませんでした…。ごめんなさい!
杏ちゃんとそこでしばらくお話をしてるとようやく太陽先輩が来ました。
「ごっめーん!」
すごく重そうなのに一生懸命走って私と杏ちゃんの所に走ってきてくれました。
「途中でこぼしちゃって…!ごめんね!」
必死に謝っていてくれて…許さないハズないじゃないですか!
「大丈夫ですよ?杏ちゃんが居てくれたんであっという間だったし…」
杏ちゃんも気にしていない様子だった。
私達はそこから歩き出して試合コートに向かいました。
「え〜と…太陽さんはマネージャーなんですか?」
「太陽でいいよ?一応…マネージャーだよ!」
「そう…」
杏ちゃんはまだ何かぎくしゃくしてるような納得していない様子で質問を終えた。
一体何が聞きたかったのでしょうか?
とにかく今は試合を見たい為に早歩きですね。
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