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帝白物語 第1章
past2


「えぇっと買うのは…冷却スプレーにテーピングにキネシオに絆創膏。」


それぞれを手にして確認しながらカゴに投げていく。



「あ…確か湿布も少なくなってた。」

急いで湿布を探しにいく。



そういえば去年も玲也とよく練習して怪我をしてたからテーピングとか冷却スプレーとか買いに来てたなぁ。

懐かしい。



『30分以内に』


そんな時急に手塚の言葉がフッと頭を過ぎった。


「急いで買って帰ろ!」


そこから私なりに急いで帰った。

帰りは下り坂の為ダッシュは勢いは殺さずに猛ダッシュ。


「よし、あと3分!」


そのままテニスコートに到着だ。


「鏡見、お疲れ。」

「大石ー!」


疲れた私を待っていたのは副部長の大石だった。

「早くサポートしてやってくれ。」

「大石鬼ー!」


あっかんべー、と舌を出して更に急いで皆の足りない物を補給をする。


それが終わった後はさっき買ってきた道具を整理して救急箱の中へ。



「太陽ー!冷却スプレー頂戴!」

「菊ちゃん使うの早っ!どうしたの?」


冷却スプレーを使うのだから何処か怪我をしたのかと思って私は心配をしてた。


だけど、返ってきた言葉は。


「暑ーい!少し動き過ぎたー」


「………。」


眉毛が手塚みたいになっているのが自分でも想像できた。


「…嘘だよ〜。なんちゃって」

てへ、みたいな猫のポーズ見せてきた。


菊ちゃん?

あなたは馬鹿ですか?


「さっさと練習に戻れーっ!!」


「ご、ごめんなさぁーい!」


走って練習に戻ったのは言うまでもない。


分かればよし。

だいたい冷却スプレーなんて、暑いから、とかで使うものではない。

臭いだって皆が好きなような臭いではない。


ある意味菊ちゃんの頭に拍手を送りたいよ。


ため息をひとつしてから直ぐにマネージャーの仕事へと戻る。






そういえば前の学校では男子も女子も部室は一緒だったなぁ。

更衣室だけはちゃんと別だよ?

もう中学生ですからね。

部室で一緒に帰る約束してたんだよなぁ。


「……っ!」


私は……



……玲也!

―バンッ―

「太陽先輩?」


「…リョーマ…君?」

「どうしたんスか?」


私の目の前にきて一緒に座る。


「な…んにもないよ?」

心配はかけたくない。

私なりに笑顔を見せてごまかす。



リョーマ君は何で放っておいてくれないかなぁ。


「嘘つき。泣きそうな顔して説得力なさすぎだよ。」


「…!?」


そういうところはあえて触れないでよ。


「…あと少ししたら来てよ。落ち着いたらでいいから。」


―パタン―


静かに扉は閉まりまた私一人になる。


一人になるから私いけないんだ。


テニスに関係する時には誰かがいなくちゃね。


これからはそうしよう。











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