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帝白物語 第1章
bygone1

遠い遠い昔の
夢を見た。



あれは庭…かな?
中学生の頃の私…と




あと一人。



「玲也!!」


玲也がいた…。


玲也は私の幼なじみ。
小さい頃からずっと一緒にいたひとりの男の子だ。


「自主練行くけど…どう?行く?」



玲也は私に会うたびに必ず声をかけてくれる。

声も優しくて私のお兄ちゃんみたいな感じだった。


「行く行く!ラケット持ってくるから待ってて!」

私は急いで家に戻ってラケットを取りに行く。


「お母さーん!ラケット!」

この時はお母さんもいて幸せだった。

もっと幸せを噛み締めておけばよかった。

なのにそのときの私ときたら…
やった!
久しぶりに玲也と
一緒にテニスができる!


玲也との久しぶりにできるテニスを想像したら胸を弾ませずにはいられなかった。

「行ってきまぁす」


扉を開けるとちゃんと玲也が待っていて…


「そんなに俺とテニスしたいのか〜!」


そう言って私の頭をぐしゃぐしゃっとする。

「同じ年なのに子供扱いしないでー!!」

悔しいけれど玲也は私をいつも子供扱いするんだ。

身長が高くなったから余計に玲也に子供扱いされているように感じて何だか悔しい。

私の身長は高いとは言えない為いつも玲也を見上げる形になっている。


玲也の髪の毛はサラサラとして茶色っぽい、太陽に当たるとキラキラとしている様に見えてとても綺麗だ。


私はいつの間にか玲也の髪にうっとりとしていた。


「やらないの?」


「…え」


玲也に声をかけらてやっと意識を取り戻す。


「あ…あぁ!行くに決まってんじゃん」


玲也の手をとり紛らすようにして公園に走り出す。


そこにはテニスコートは無いけれども、それらしきコートはあった。

ネットは無くて自分達で制限を決めるしかない。


「お前次の試合、全国の…」


「私はやるからね!」


テニスボールを玲也のかばんから取り出してひとりで位置につく。


「…応援してるよ。ご褒美考えなくちゃな。」


私を子供扱いしながらレシーブの位置へと歩き出す。




「…玲也は団体戦に出たからね。まぁ私もだけど。」

男子の大会は関東で止まった。玲也一人の成績ではさすがに全国という高いは壁は越える事ができなかった。

一方女子は無事に全国に進み来週には決勝というところまで来ていたのだ。

玲也にはまだ未来がある。玲也一人の力だったら多分全国も夢ではないと思う。それ位玲也の上手さは半端じゃない。

私はそれについて行こうと…精一杯だった。


「俺は団体戦に出て後悔はしてないよ」



自分一人だったら…もっと進めるのに、そう言える玲也が好き。


「私も、もちろん来年も団体戦の予定だよ?」




ボールをバウンドさせてキャッチする。


「サーブもらうよ!」










私たちは時間さえあればテニスをやっていた。


新しい技を一緒に習得した事だってある。

試合の後はお互いに相談し反省点を勉強する。


これからも続けられると思ってた。





あの事故があるまでは。
















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