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帝白物語 第1章
advance6

「つっかれたぁー」

菊丸がバッタリと倒れ込む。

「菊ちゃんお疲れ!」

スポーツドリンクを渡す。

「太陽ありがとー!」


体力がある、とは言えない菊丸には相当きついようだった。


私は菊丸の足を取りマッサージをする。


「このまま筋肉が固まったりしたらその後が怖いからね。」



「太陽〜!」

菊丸が抱き着いてきた。


「えぇ!菊ちゃん?」

「何ていい子なんだぁ」


―ボコッ―


菊丸は誰かによって殴られた為気を失う。


「大石…?」

「すまない、ただ嬉しいだけで悪気はないんだ。」

そう言いつつも、菊丸の体を気遣い肩を取り抱き抱える。

何とも器用な男だ。


「大丈夫、菊ちゃんの性格は見てて分かったから!」


菊ちゃんは明るい性格で周りを活気づけることができる。


「ありがとう。さて…行こうか。門がしまってしまう。」




げっ…!?

私はまだ制服に着替えていないでジャージ姿のまま。皆はいいかもしれないけど私は…!


「私まだ着替えてないから待っててね!」


急いで更衣室へと走って着替える。

私は神業をいつの間にか身につけていたらしい。早着替え、という微妙な技だ。


多分これも毎朝寝坊していたおかげだろう、と思う。

鞄から一瞬光が見えた。
携帯だろうと予想が出来て携帯をちら見してみる……見えてきたのは着信10件という文字。


『跡部景吾』

景吾の名前が縦一列に画面に埋まっていた。


…殺されるっ!



急いで門へと向かって学校を出る。




「太陽先輩遅いっスよ。」

「ご、ごめん!」


冷めた様にリョーマ君がいうものだからかなり遅れたものだと思っていた。


「越前はイジメるのが好きみたいだね。」

不二が言わなければ気付く事はできなかった。まだ5分しかたっていなかった事に。

「リョーマくん…」

ここで微妙にくすぐってやろうかと思ったたのは秘密で…。



ってこんな事してる暇無かった!!

すぐに景吾に連絡しなきゃ!!


「みんなゴメン、ちょっと待ってて!」

みんなが集まっていた門から少し離れて通話ボタンを押す。


―プルルルル―


電話の先から聞こえた声は何とも不機嫌だったことか…。



「おい太陽、俺様の電話を無視するとはいい度胸じゃねぇの。」

「ちっ違うんだって!理由は帰ってから話すから!」

「もう青春台の駅まで来てる。さっさと来い。」


景吾の言葉を最後にプー、プーと電話は切れてしまった。


「鏡見、家の方か?」
手塚部長…!
貴方に心配させる訳にはいかないよ。

「まぁね…。でも大丈夫だよ!言い忘れてただけだから!」


「…そうか。今日は急いで帰った方がいいだろうな。」


今日はそうさせて頂きます。部長、すいません!


「ありがとう!今日はお先に失礼しまぁーす!」

みんなに礼をして手を振る。



それからする行動は1つ。


駅を目指して突っ走る!!!

















「遅い!!」

私なりに全力疾走をしたんだけれども…彼には今までの待ち時間があったからか長く感じたのだろう。

車に連れ込まれ一声目がそれっていうのはほんの少し悲しかったよ、景吾くん。


「それで、どうしてこんなに遅くなった?」


この話になったって事は…言わなきゃダメだよね?


他に言い訳が見つかる訳でもない。

こんな時には頭の回る子に生まれたかった、って心から思います。


「私…マネージャーを…する事に…なりました。」


何故か弱気になった。

悪い事をしてる気分だ。

別にそういんじゃないけど…。


「どの部の?」


そこ聞きますか…。

言ったらどうなるかな。


「男子テニス部…。」



私のその一言で眉毛がピクッと動いた。

気付きたくなかった。

でも私の人を気にする性格が見逃すハズが無かった。


「ほう、それは何故だ?」

「…スカウトです」


ハートを語尾につけてやろうかと思ったけれど、今の状況ではそんな冗談もしてはいけない雰囲気だった。














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