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帝白物語 第1章
advance3

教室をガラッと一思いに開ける。

その瞬間を待っていました、とでもいう様にある人が抱き着いて来た。






「あ…葵??」

「ちょっと!昨日テニスコートにいたよね?」


何故知っているのか。


だがよく考えてみれば彼女もテニス部なのだ。女子の。


誰がいるのかなんて見えない距離ではない。




「いたけど…?」

「な、何でいたんだ!?」



葵の顔は必死だった。
私があそこに居たのが不思議でしょうがないのは分かる。


私自信だって不思議でしょうがない位だ。



「マ、マネージャーにならないかって…。」



「!!??」



葵の顔が尋常じゃなく怖くなった。

まるで私を憎むように。



「あ…葵…?」

「手塚が認めたのか?」


「彼から…。」


その一言を聞くと葵はため息をついて昨日と同じ様な優しい顔つきになった。


「そう彼が…」

「何かあるの?」









「今まで誰もマネージャーをとらなかったんだよ」


「……。」


どういう事?

私にはあちらの方から。



「太陽には何かあるんだな。」


葵は納得したみたいで、私から離れて自分の席についた。





―キーンコーン―


いい感じのタイミングでチャイムが鳴る。


葵に聞きたい事はたくさんあったが仕方なく私も席に着いた。


すると少し心配そうに不二が話しかけてきた。


「太陽ちゃん、大丈夫だった?」

「え?…あぁ、さっきの?」


見てたんだね。
不二くんは目がたくさんある様で怖いよ。







「ねぇ…。何で私がマネージャーに?」

「まぁ…気配りって事にしておこうよ。君の練習にもなるでしょ?」

「!?」


私の練習って…。
不二くんもしかして…。




「あ、不二くんっていうのよそよそしいから止めない?」

「え??」


「僕も太陽って呼ぶからさ、多分みんなもそう思っているよ。仲間になるんでしょ?」






『仲間』か…。


そうだよね。


私も遠慮ばかりはできない。



呼び捨ての方がとっさに呼ぶ時にはいいしね。


「ならそうさせて頂きますか!不二?」

「うん、やっぱそっちの方が親しみあるよ。」





よし、何か1歩昇進!


こうやって頑張らなくちゃね!



「ありがとう、不二!」

「クスッ、どう致しまして。」




不二くんって不思議な人だね。

何か読めない人。

まだ手塚君のが読めそう。


おっと、手塚でいいんだっけ??


















この時は全然意識してなかった。


葵から送られる鋭い視線に。














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