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帝白物語 第1章
advance1

「ただいまぁ〜!」

「おかえりなさいませ、太陽様。」

使用人達が一斉に集まってお出迎え。

2日目の今日だがなんとなく昨日よりは普通の態度なハズ。



「おそかったな、太陽」


なんとまぁ、景吾までもがお出迎え。


「ちょっとね。」

「俺様に秘密事か、いい度胸だな。」

「うっさい、俺様!」


フン、とそっぽ向いて食堂へと向かう。

もちろん隣には景吾がいる。


「景吾さぁ…、テニス楽しい?」

「…楽しくなかったらやってねぇよ。」





…そうだよね。
楽しくなかったらやらないよね。



「ありがとう、景吾。」

「お前は意味分かんねぇ奴だな。」

「褒め言葉として受けとっておきまーす。」




私はテニスが好きだから

楽しいから

離れられないんだよね。



ごめんね、玲也。
せめて……。














「今日のご飯ハンバーグじゃあん!」
ハンバーグ独特のいい香りが食欲をそそる。

「お前は…」

景吾くんはというと…?

私に呆れているではないか!

失礼ね!

美味しそうだからついつい。


「いっただきまぁーす」

私は座った瞬間、フォークとナイフを持ってハンバーグを口へと運ぶ。

「おいっしぃー!これをまさしく美味というんだね。」

昨日は張り詰めた緊張感に負けて美味しかったハズの料理も全く美味しく感じ無かった。

だから今日は美味しく頂こう、帰りからそう決めていた。


「お前は美味そうに食うな!」


コイツ一人がいるだけでこんなにも賑やかになるなんてな。


俺もまだまだ甘いな。


「景吾も食べなよ?美味しいよ。」


無意識だろうな。


純粋だからできる笑顔。


その辺りの女の下品な笑い方とは訳が違う。



母さんもコイツの性格を知って俺の傍に…?

あの母さんに限ってそれは無いか。

これもたまたまだろうな。




「景吾!早く食べないと…」

「食べないと…?」

「私が食べちゃうよー」



一瞬だけど景吾がほんのちょっと優しく笑ってくれた気がした。

気のせいかもしれないけどそれでも嬉しかった。













「ご馳走様!お腹いっぱぁい!」

「俺にはちょうどいい。」


さすが男の子!
今が育ち盛りだもんね。



「景吾、部屋戻る?」
「あぁ」


私たちは食堂から出てお互いの部屋へと向かう。


私は昨日ようやく自分の部屋へ戻る道筋を覚える事ができた。

もう一人でも完璧だもんね!!


だけど何で…?


何で景吾も私と同じ方向なの??


「何で着いてくんの?」


景吾がため息とても大きくついた。

「お前はどんだけ馬鹿なんだ。」

「……??」



何が!?

景吾は何を言ってるの?


私の頭にクエスチョンマークがたくさん浮かんでいた。

「俺様の部屋もこっちなんだよ。」


……………なるほどね。



「この家いくつ部屋あんのよ。」

「さぁな、ありすぎて分からない。」

「…さすが。」


私の前の家なんて一軒家でも4こだよ?4こ!


なんか虚しくなるよ。



「ねぇ、景吾の部屋そこ?」

景吾は当たり前のように

「あぁ。そうだ。」

と言い切った。


でもね、景吾くん。


その部屋はね。


「私景吾の部屋の隣。」


なんだよね…。


「仕組んだな、母さんめ。」


かすみさんか…。

確かにかすみさんの性格なら…

「だって女の子は危ないし、景吾いた方が安心じゃなあ〜い」

って言うだろう。

私のお母さんとかすみさを何かめちゃめちゃ似てるよ。

そりゃ気が合う訳だよね。


「ちっ。」

景吾は舌打ちをしてバタンと部屋に入ってしまった。

なんか私が置いてかれたみたいだ。

私は景吾と違ってパタンとドアをしめて部屋に帰る。




そういえば…

「私が家に帰ったらメールするからね!」


とかって葵が言っていた。



完璧頭から飛んでいた。

夕食にそれだけ夢中だった自分が今更だけれど恥ずかしい。


とりあえず急いで携帯を開く。


やはりメールは1時間前近くに来ていた。




『TO 太陽
from 葵
sub 葵だよ〜。
――――――――
ちゃんとメール送ったよ!
明日また色々と
話そうね(^_^)v
じゃあおやすみ(σω-)。о゚』


性格はサバサバしているらしいけれどこういう所は女の子だった。


これは何だか返事がいらないメールな気がする。

で…でも返事をしないのは感じ悪いよね。

可愛くなくても許してね、葵!

―ピッピっ―

『TO 葵
from 太陽
sub メールありがと!
――――――――――
返事遅れてしまって
ごめんね(>_<)
また明日たくさん
話そうね!
おやすみなさい!』


「送信っと…。」



メールって指の筋肉すごい使うじゃん。

最近の若者はすごいね〜。私も若者だけど…。


ベッドに体を預ける。

体をクッションで柔らかく包んでくれるこの時が好きだ。









マネージャー…


どうしようかな。



景吾に…言っても無駄だよね。



悩んでいても心は既にある結果を望んでいる。


そんな事は自分だって気付いている。


ただ…玲也。

あなたは私を軽蔑の目で見る??



『……好きじゃなきゃやってねぇよ』

よく分からないけど何故か急に景吾の先程言っていた台詞がリピートされる。




好きじゃなきゃやらない…か。


あんなに辛い練習

好きじゃなきゃできないよね。


そうだよね。



好きだからやってるんだもん!


私はそれをサポートしたい。

やりたい、みんなの役にたちたい。


私が希望をあげられる人になりたい。



私はこうしてマネージャーになる事を決意したのだった。

















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あきゅろす。
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