帝白物語 第1章
manager2
あんなヤツ初めてだった。
母さんから家に一人家族が増えると聞いた。
その話を聞いた時には正直とても不愉快な気持ちで納得がいかない気持ちの方が多かったと思う。
何故見ず知らずの他人と一緒に暮らさなくてはならないのか…と。
しかもそれが俺と同じ年というならば尚更だ。
母さんに否定をしたけれども彼女にも事情があると、それを聞いたら嫌だとは言えなくなり仕方なく承諾したのだった。
だけれども、俺にも条件をつけさせてもらう事にした。
まずは学校は別にしてもらう事。
母さんは気に入らない様子だったけれども理由を話せば納得した。
女で俺と暮らしているともなればネチネチとした女ならいじめに走るに違いないから。
そして、彼女の学校は俺とは別という事が決定された。
初めて太陽を見たのはテニスの練習をする事ができる公園。
あの公園には少し遠いが俺もよく練習しに行く所だった。
だが、先約がいたから諦めて帰ろうとしていた…が帽子を被った生意気なガキと多分女であろう奴が試合をしていた。
女はガキに負けない位のゲームをしていた。
そしてついにはツイストサーブまで使ったのだ。
アレは素人ではなく全国にまで行ったんじゃないかと思った位。
ただここでの興味はそんな程度。
その日は夜も太陽に会う事はなかった。
それは朝も一緒。
何故ならば俺には生徒会長という役目がある訳でやらなければいけない事がたくさんあり、朝早く出て行ったから。
初めて会ったのは夕食の時間。
ここで俺はすぐに昨日のアイツか、と気付いた。
この整った容姿を忘れるハズが無い。
太陽は最初生意気に俺に突っ掛かってきやがった。ハッ勝ち気なヤツ。
「そっくり。」
とかなんとか言って父親と比べやがった。
最初はむかついた。
だけれども…
「…口悪い」
その後の一言が、珍しい奴だと思った。
この俺様にそんな口を聞く奴なんて他にはいないからな。
これには俺も笑いそうだったぜ。
ポソリと小さく呟くように言ったから。弱気なのか強気なのか分からなかったがな。
太陽はその俺の態度が相当気に入らなかったのか思いっきり俺に怒鳴った。
急に大人しくなったかと思ったら何なんだコイツは。
「跡…部くん?」
なんでコイツに名字呼びされなきゃなんないんだ。
家の中まで跡部、か…。
それは気持ち悪い。
本来、名前を呼ばれる事は嫌いだ。
だけれど……
コイツなら良い気がしたんだ。
「名前で呼べよ。」
この言葉を聞いて誰もが驚いていた事は言うまでも無い。
ここまで珍しい女は太陽、お前だけだ。
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