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帝白物語 第1章
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―ピピピピ―

うるさい目覚ましを勢いよく手でとめる。


「よし…今日…は、起きた!」



時間は7時。
よし、これなら余裕で間に合う。

私は起き上がり、顔を洗って歯を磨いて髪を結んで準備する。


「今日はポニーテールっ!」


一日目は無駄に気合い入れたいじゃない??


―コンコン―



「太陽様おはようございます。」


「おはようございます!今日はちゃんと起きてますよ〜!」


「分かりました。では食事でお待ちしております。」



よし、後は制服着て鞄持って行きますか。

勢いをつけて扉を開ける。



その勢いでドアがバンっとうるさい音をたてたのは言うまでもない。


「朝からうるせぇな、お前は。」

「…け、景吾。」


朝から会ってしまった。
しかも悪口つきで。

「ちゃんと名前呼べんじゃねーか。」

「う…。私は呼べるからっ!!」


朝から軽すぎるガキみたいな口げんかを済ませて二人で食堂にいく。


朝ごはんの量が昼ごはんと同じ位ってどうよ?? 朝からこんなに入らないってば…。


そう思いながらも作ってくれた方には悪いと思い一生懸命食べる。


「お前は朝からよく食うな。」

「あんねぇ、せっかく作ってくれたのに食べない訳にはいかないでしょう?」



なんか私変な事言ったかな?景吾まで私を驚いた目で見てる。


「お前は…そういう奴なんだな。」

「それ…悪い意味?」


不安になって尋ねてみたけど景吾の返事はさぁな、と曖昧なものだった。



何だしソレ。

ここの人たちは何で
みんな私を驚いた目で
見てくるのかな?


ご飯も無事に(?)食べ終わる事ができて学校に向かおうとする。



「ほら太陽、行くぞ。」

「へっ?わ…私電車で行くんだけどっ…。」

「アーン?俺の言う事が聞けないとでも?」


俺様め。
迷惑かけたくないから電車で行くんじゃん。
アンタは馬鹿か!


「いいから行くぞ。」


私は電車で行きたいのー!


「安心しろ。ただ母さんに言われてるから連れてくだけだ。」



なんかむかつく。

まるで俺が一緒に行きたい訳じゃない、仕方がないから行ってやる、と言われてるようで…。


「別に…。」


でもかすみさをが言ってたなら仕方がない事だと思う。かすみさんにはとてもお世話になってるから。



「なら行くぞ。」


車はもう待っていて昨日の運転手さんがドアを開けて待っていてくれた。


「おはようございます。景吾様、太陽様。」


「運転手さんおはよ〜。」

「何だもう知り合いなんじゃねぇか。」


知り合いって位ね。
本当に。

はぁ〜。


「早く乗れ、太陽。」

なんだかんだでレディーファースト。こういうところはちゃんと出来てるんだ…。




車は静かに目的地に走り出す。誰も会話する事もなく重い空気が流れたまま。

そこでいつもの様に私の体に変化が起きた。


「う…っ運転手さん。」

「太陽様、貴方には今は景吾様がいらっしゃるでしょう?」

まだ最後まで用件言って無いのに何で分かるのよー!?馬鹿っ!


一方の景吾の方はというと…アン?とか言って何の事かわかってない状態だった。


「お前酔ったのか。」

「う…ん」

「…横になれ。」


ぃ…いやです。
何でまだ知り合ってほんの少ししか日にちたってないのに…。


「いいから横になれ。」


私に横になる気が無いのが分かったのか無理やり私の頭を掴んで横にさせられた。それも景吾の膝の上。


「やっ、景吾!」

「いいから、寝てろ。」


景吾の有無を言わせない口調で私に強く言う。



そんなの…反則だよ…。


反抗しても無駄だと考えて抵抗は止める。


私はポニーテールをしている為に真上を見る事はなく、景吾に背を向ける形で寝る事なった。



ある意味ポニーテールで良かった。景吾に私の顔なんかの見られたくないし…。



「お前は頑固だな。」

「…頑固じゃないから」

否定はするものの今の私の態度はそう言われても仕方ないかも…。

昨日確か言ってたよね?運転手さん。

『景吾様は疑われやすいんです。本当は優しい方なんですよ』って。



なんかさぁ、その意味、今ならほんの少しだけ分かる気がするよ。













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