[携帯モード] [URL送信]

帝白物語 第1章
encounter4

「なんかチビで生意気なガキでした!」

あの感じを思い出しただけで腹立たしい…。

でもどっかで見た事あるような…。




今の特徴だけで分かったのか先生はくすっと笑い始めた。



「その人ね、多分テニス部員の彼ね。」







ふーん…。








って、ええぇ!?




ええぇ??


「先生…。もーやだっ!なんだかその笑みが怪しい(ニコっ)!テニスだなんて!」


そこらで話をするオバサンの様に手でバシっと先生の肩を叩く。


予想外の行動にビクっとする他無かったらしい。反撃もしてこなかった。あ、先生だからか。





「痛っ…。冗談じゃないわよ?テニス部員はみんな凄いのよ?」



「うっわぁ…。そんな事…」


知ってる―――――

この先の言葉は言いたく無かった。まるで自分がテニスに興味あるなんて、知られたくないから。



色々とはなしていたらこんなんじゃキリが無い。
なので家に帰る事にした。

先生は私を「面白い子ね。」とか言ってたけど、私には何が?としか言いようがなかった。



「すいません、今から帰ります。」


さっきの運転手さんに電話しないといけなかったからね。今日は、って約束だから。

「了解致しました。」




朝下ろされた場所に行くと既に車が来ていてイリュージョンとか思ってた。

ドらえ〇んがどこでもドアでも出したのかと思った。


「何でこんなに早いの?」

「そりゃあ、太陽様を待たせる訳にはいかないので。」


どんだけー!


私今までこんなにお姫様扱いされた事ないから!


「い…っ、ありがとうございます。」


その言葉に運転手さんはまた少し驚いて「どう致しまして」そう言ってくれた。


私は車に乗る。

それと同時にキーンコーンと学校のチャイムが鳴り始めた。


今からお昼かな?とか思うと自分もお腹が空いてきた。



「家に着きましたらお昼ご飯が準備されてますよ。」


私また顔に出てました?



「私…お腹鳴ってました?」
「いえ…もうお昼の時間ですから。」



おお、なるほどね!
良かった。
私が単純馬鹿になるのは困る!




車はもう走り始めていて、また酔いそうになってきた。


何故車がガッタンゴットン揺れないの!?


「またお話しましょうか。太陽様。」



ナイスタイミングです。
ありがとございます。



「はい…。」



「太陽様は家で景吾様に会えましたか?」




「だれそれ…。」


「あぁ、息子さんですよ。」



景吾ね…。
名前初めて聞かされた気がした。


やば、呼び捨てはいけないね。


「会ってないですよ。みんな授業中ですし。」


「そうなんですか、残念ですね。」



確かに会ってみたかったな。でも家に戻れば会えるんでしょ?ならね、それまで我慢するし。



「大丈夫です、家に帰れば会えますから。」


「そうですか。…景吾様の事あまり勘違いしないで下さいね。」



「え…?」

何を…?



「本当はとても優しい方なんです。」




優しい、ってそりゃそうでしょ。私の今の妄想も…じゃなくて想像では優しいから。



「わ、分かってるけど…なんで?」

「いえ…勘違いされやすい方なんです。」

ふぅーん。
なんじゃそりゃ。




「着きましたよ。」



話してると本当あっという間。酔いもかなりマシになった。


「話してくれてありがとう。」

「いいえ、ではまた。」


ガチャリとドアが開いて私は降りる。だけど何だかまだ景吾って人の事が気になる。


「運転手さん!また一緒にお話しようね!バィバイ。」



私は手を振って家の中に入って行った。


運転手さんいい人だったな。
ちゃっかり格好良かったし。




「お腹空いたぁ〜。ご飯食べたい!」


メイドさんが私に近付いてきてクスクスと笑っていた。

「おかえりなさいませ、お食事なら準備されてます。」


「ごめんなさい」

恥ずかしくなってついつい謝ってしまった。


「謝らなくていいんですよ、太陽様は可愛い方ですね。」



か、か、可愛い!?



「無い無い無い無い無い無い無い!絶ーっ対無い!」


久しぶりにこんなに否定した気がする。

もぉー無い事を言わないでよぉ〜。


「分かりましたよっ!早く食べましょう。」



「うぅ〜っ!からかわないで下さいよー!」
見られている人全員に笑われた気がした。

私をからかってそんなに楽しいかなぁ??



「頂きます…。」



目の前に出されたご飯に目が飛び出そうだ。

目から鱗が出るってこういう事を言うんじゃないでしょうか。


なにこのキラキラしたご飯。お昼ご飯なのに…何かのパーティーに出されるご飯みたい。


「私なんかにこんな凄いご飯出さなくていいのに。」

私の独り言が聞こえる訳もなくメイドさん皆が私を見ていた。




一応お母さんに食べ方は教わっていたから食べれるけれど…。



こんなにジロシロ見られて食べられない。





「あの…みなさん極楽して下さい。」



みんなが私の言葉にきょとん、としていた。


あ!極楽って意味が違うのか!もぉ最悪だ…。



「太陽様みたいな方は初めてですよ。」

みんなが口を揃えてそう言い始めた。


なんかそれさっきも聞いた。私変わってないし!私の周りみんなこんなんだし。



「…うぅ。」




私の唸りも悲しく消えていき。ゆっくりだけどお昼ご飯も無事食べ終わる事ができた。


「御馳走様でした。」


とにかくこの空間が耐えられなくて部屋に帰りたかった。

ってか帰りたい。帰らせてください。














4/6ページ


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!