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帝白物語 第1章
encounter2

8時30分になり家を出ようとしていた。

「太陽様!お待ち下さい。学校までは私が送ります。」

走って私を呼び止めたのはよく駅でお客さんを待ってるタクシーの運転手さんみたいな人。

だけどさすがに車で送ってもらうまでになるとなんだか気がひける。


「大丈夫です。電車に乗っていくんで!気持ちだけもらわせて頂きます。」

ニコッと私なりの笑顔を見せて説得しようとした。結局そんな私の抵抗は無駄だったらしい。


「いえ、命令なので。」


おーっつ!
そうきたか…。
命令ってなったらな。
破ってその人に何か
あったら困るからね…。

「わかりました。今日だけですよ!」



そう言ってこの前乗った様な高級車に乗せられた。乗せ方もまた丁寧に扉まであけて下さいましたよ。

私はそんなにお嬢様じゃないのに。



車はガッタンと揺れる事は絶対無くて気持ちが悪くなってきた。

私が今まで乗ってきたのはガッタンガッタンと揺れてきたから…。乗り心地の良い車に慣れてないらしい。

昨日はかすみさんと話をしていたからかな、大丈夫だったのは。


ここで気持ち悪くなる事を阻止する方法はたったひとつだけ。





「運転手さん…」

「なんでしょう太陽様。」

「私とお話して下さいません?」


運転手さんは意外な内容だったのがミラー越しではあるけど一瞬肩が揺れた。

ダメです、とか言われるかと思ってたけど意外に応えは…

「私なんかでよろしければ」

という事だった。




良かった、と私は思うほかなかった。

私はここの生活には全く慣れない。だから疑問に思った事を今この運転手さんに聞こうと思っていた。


「運転手さんいくつ?」


なのに何故か私が聞いてた事は運転手さんの年齢。

私の場合なんだか先にその人と仲良くなろうって頭が働いてるらしくこうなる。

こんな事は毎回の様で自分の事なに大分慣れた。




「私は…26ですよ。」

「…えぇっ!?マジ?」

見えない!
帽子を被ってるし何だか口調がじじぃっぽくて…つい…。

「いや、よく見えない。って言われるんですよ」

「ちょっ、帽子外してください。」

私がそう言って前の席に半分体を出してそう言った。

タイミング良く信号が赤だったらしく帽子を外してこっちを見た。


え…。


「サービスですからね」


そう言って運転手さんはすぐに帽子を被って前を向いた。それと同時に私も座っていた元の位置に戻る。






めちゃめちゃカッコイイ。

もったいない!
実はちゃっかり
モテるんだろーな。


私が色々考えていると運転手さんが心配をしてくれていた。

「あの…大丈夫ですか?」

「あ、大丈夫です。」


やばい、やばい。
考え込むと何も
喋らなくなる癖がある。

これは直さなきゃな。



「あの…跡部さんの一家って…。」

「まぁ、見た通りすごい所ですよ。息子様も立派に育って。」


見ればすごいのはわかりますとも。
だってあんな家みたいな所の他に会社があるんでしょ?



「息子さんってどんな方なんですか?」

「はは…。全てにおいて完璧な方ですよ。」


なにそれ!
…完璧って…。
運転手さんまでいう位な方?

「それは性格を含め?」


「それは人それぞれですよ。」


ミラー越しにニコッと笑ってくれてるのが分かった。


これ以上は聞く気が失せた為黙って外を見ていた。

「着きましたよ。」


ガチャ、と車のドアが開かれて降りる。

「終わりましたらご連絡下さいませ。」

帰りまで迎えにくるのかぁ…。

まぁ今日だけだしいっか。

「はぁ〜い。分かりました。」

手を振って目の前にある大きな門と睨めっこ。


―青春学園―

今日からここが私の学校か。
よろしくお願いします。



決心をしてこの学校に入って行った。














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