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小説
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「あんな人目の付く所でなにしてるんですか」

ルームメイトのジノさんは僕の一言にきょとんと眼を丸めた。ぱちぱちと数回瞬きをした後に何事もなかったかのように笑みを浮かべて「おかえり」と僕に言う。

「全く、いつになったら学習するんですか?」
「学習?俺、成績はいいほうだぞ?」
「そういう風に誤魔化すのやめてください」
「だったらロロも学習したらどうだ?」
「なにをですか…」
「ロロがちゃんとくれるなら俺はああいうことしないのに」
ふんわりと笑ったその顔は女の子なら悩殺者なんだろうけれど、生憎僕は男だ。そんな笑み通用しない。

「毎回毎回毎回社会科の資料室でされると迷惑なんですけど」
「あそこじゃなきゃ意味ないからな。だってあそこにいれば絶対にロロ来るだろ?」
「……僕が来るからなんなんですか」
「何回も見せつけていればロロからくれるようになるかなって」
「……何回でも言いますけど。僕は血なんてあげる気はさらさらないです。諦めてください」
「そうはいかない。俺達吸血鬼にとってこんなに自分に合う血液持った人間は貴重なんだからな!!」

そう力説するジノさんをスル―して僕は自分の机に鞄を置いた。何回も聞いて聞き飽きましたよ、その台詞。


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