寂しい粒
いつだってレンは私に笑顔を見せる。
ボーカロイドがマスターに良い態度をとるのは当たり前。
｢マスター、どうしたんですか?｣
｢どうしたって、何が?｣
｢目から水が流れています。どうしたんですか?｣
あ、
さっきから頬が冷たいと思ってたけど、コレのせいか。
レンは涙を知らない。
レンは何度も何度も心配そうな顔つきで｢どうしたんですか?｣と覗かせる。
｢あはは、私故障しちゃったかも｣
｢い、やだ、嫌ですマスター!故障しないでくださっぃぃ…｣
今にも泣きそうなレンの姿に驚いた、って訳でもなかった。
レンが好き。
この想いは故障しない限り一生消えない。
｢じゃーさ、私のこと好きになって?｣
｢よく、わかりません…。僕はマスターのこと大好きです…｣
違うよ。
その好きじゃない。
｢レンの鈍感、ばぁーか!｣
｢うぇ、ますたぁ…っ｣
私の目からは寂しい粒が止まらなかった。
寂しい粒
いつかこの想いが消えますように。
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