SS 赤VS黒(幸村と小十郎/「赤と黒」「黒と青」続き物 完結) 軍配はどちらに。 ◆赤VS黒◆ 「政宗殿!!」 朝。 何も知らねぇ真田は、何時も通り政宗様の部屋に現れた。 俺は奴が襖を開けたその瞬間に、容赦なく黒竜を振り下ろす。 だがそこはさすが真田幸村。 即座に自分の得物の二槍で俺の攻撃を受け止めやがった。 俺は踏み込んだ足を軸にして、そのまま身を翻し奴との間に間合いを取る。 「チッ…さすがに一筋縄じゃいかねぇか」 「…どういうつもりだ、片倉殿」 奴は、既に獲物を狙う獣の目をしてやがる。 何時もの従順そうな姿は、やっぱり偽物だったって訳だ。 「重臣である貴方が俺に刀を向ける等、軽率ではござらんか?」 「総大将を手篭めにしようとしてる野郎程じゃねぇだろ」 バチバチと、俺達の間には激しい火花が散る。 コイツにだけは負けちゃいけねぇと、本能がそう訴えていた。 「ならば仕方ない、黙ってもらおう!」 「いいぜ…真剣勝負といこうじゃねぇか!」 「竜の旦那、アレいいの?」 「ならお前、止めろよ」 「無理です」 武田の忍が美味しい所を持って行った事に気付いたのは、何故か真田と俺の間に好敵手の関係が生まれた後だった。 End [前へ][次へ] |