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belief(佐政)



◆belief◆



「竜の旦那は神様って居ると思う?」

「そんなもん、誰にもわかりゃしねぇだろ」

「まあそれはそうなんだけど。俺は旦那の意見が聞きたいんだって」



甲斐と同盟を結んでいるとは言え、まさか忍と神について論じる日が来ようとは、政宗は思っていなかった。
彼の自室に何処からともなく現れた佐助は、手土産に携えてきた甘味を手にしながらこちらの反応を伺っている。
曖昧な返答では満足してくれそうにない相手に、彼は小さく溜息を付くと眉間に皺を寄せて考えを巡らせ始める。
澄色の鮮やかさがちらちらと時折視界に入って、完全には集中は出来なかったが。



「居るんじゃねぇか?」

「へー、竜の旦那でもそう思うんだ」

「Ah?どういう意味だテメェ」

「いやいや、純粋に俺様と同じ意見なんだなぁーって事」

「Ha!相変わらず忍らしくねぇ考えだな」



軽く笑い飛ばせば、大袈裟な反応と共に、思いがけない言葉が返ってくる。



「だって忍が竜とお近付きになれるなんて、神様のお力添えでもなきゃ無理そうじゃない」



佐助に微笑まれたその直後、政宗が渋面を構えながら赤面するという器用な事を為し得たのは、言う迄もない。



End

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あきゅろす。
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