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秘密*♯(ドフラミンゴ夢で微裏シリアス?もしも篇)




聖地マリージョアにて

「何故ですか…何故、この提案は却下されたのでしょうか。お答え下さい、つる中将」

「上からの命令でお前の提案は却下されたんだ。私はこの件については何も聞いていないよ。」


グレンは久しぶりに自分の上司に呼び出されたと思えば、自分が考えた提案が上に通らなかった事を伝えられた。

2週間練りに練った研究案が却下
グレンは決して自信家ではないが、この案は必ず通るという自信があった。

自分の知識をフルに使い、試行錯誤を重ねて書類を30枚。
図やグラフも使って馬鹿でも分かりやすく書いてやったのに


「納得出来ないのですが」

「私にはどうにも出来ないよ。」

「センゴク元帥ではなく、もっと上に私の案は却下されたのですね」

つる中将は小さく頷いた
溜め息混じりのその顔にグレンは静かに怒りが沸々と湧いてきた。

海軍本部元帥より上、つまり世界政府元帥若しくはその頂点に立つ五老星の存在。

「…はっ…上は余程の馬鹿と見える。」

「ジルベルド・ヴァン・グレン。言葉には気を付けな。」

「…では、私の首を切ったらどうでしょうか。」

思わず笑ってしまった
自分の眼前に座る上司に自分が丹精込めて制作した書類を突き返されたのだ

こんな事初めてで
自分を否定され
侮辱された気がした

これほどの屈辱はない

「……私は軍人ではありません。医者です…研究者なんです」

「…こればっかりはどうにもならないよ。」


上司に歯向かうのも初めてだ。

「………センゴク元帥に意見を述べても現状は変わりませんね」

「あぁ、こればっかりはね。」

「…分かりました。失礼します」

突きつけられた書類の束を全てかき集め、にこりと作り笑みを浮かべてその部屋を去った

白衣を翻し去っていたグレンにつるはまた溜め息を着くと、自分の執務に戻った


彼が軍に入ってきた頃から見てきたが、あんなに怒っている姿は初めて見た。

いつも冷静沈着で
何事にも素早く行動し
問題を解決する彼が今は

無表情な端正な顔を怒りに濁し、足音荒く去っていくという行動をしている

なんとも言えない心境だった。













くそ くそ くそ…っ!!

グレンは怒りを隠しきれていなかったいつものポーカーフェイスが崩れ
優雅に白衣を翻し、羨望と嫉妬の視線を横目に歩くということもない。

風を切るように荒々しく歩き
周囲は困惑と疑問を浮かべたような視線で見つめている

グレンはそれにすら苛立ちを感じていた。


この思案した研究は間違いなく、成果が上げられる
医療界は大きく動く筈だ。
資金さえあれば必ず成功する

しかし結果は却下
資金は出せない
この研究はするな
とのお上の命令

『…くそっ』


行動の評価で成り上がった地位とはなんと効力がないのか思い知らされた

最年少天才医学者?
最年少海軍本部中佐?
笑わせる

自分達は簡単に蹴り飛ばされるような立ち位置で
反抗すれば不穏分子としてきっと『処分』される。

軍という組織
政府という組織に歯向かうものならいつでも抹消出来る存在なのだ

そうなりたくなければ
ご機嫌とりの都合の良い研究成果を提出しろと
体を良く言えばそうなる

自分は無力だ
これほどまでそう感じた事はない。


20代後半で海軍本部中佐相当の地位
医学界で最年少の医学者として期待をされている

なのに

『自分の研究が何の訳もなく却下とはどういう事だ…っ!』

簡単に足蹴にされた。
これほどの屈辱はない

自分達は嫌と言う程裏金だの賄賂だのをしているくせに
研究費は出せないと言う
援助金は出ないと言うではないか


グレンは今なら自分は政府に乗り込み、政治家を殺しかねないと思い
取りあえず落ち着く事にした

カツカツカツカツッ カツカツカツカツッ

自分の革靴が固い廊下にぶつかる音がやけに鼓膜に響いた

誰にも会いたくない
ましてや恋人には尚更!
だが、残念な事に恋人は同じ組織で働いている
いや今は多分昼寝中だろうか

絶対会いたくない
というか見られたくない


バンッ!!
廊下の窓を思いきり開けた

白い雲、青色の空
地平線までもが美しく輝く海が広がった

「こんなもんいるかあぁああ――――っ!!」

それさえもが疎ましかった
グレンは持っていた書類を全て窓から投げ捨てた

自分が毎晩の如く徹夜状態で仕上げた汗と涙の結晶はばらばらに空へ舞い上がり、そして落ちていく

認められないものなど価値はない
なら自分の手で捨てた方がましだ。


「どちくしょう…っ畜生!!」

この無力さが余計に苛立ちを感じる

焦り
憤り
怒り
苛立ち
自分の存在価値とは?
全てが頭に駆け巡る

「よぉ、今日は随分と荒れてるなぁ…仔猫ちゃんよ」

いきなり誰かに肩を掴まれ、ふと意識が戻ってきた

グレンが背後を振り向くとそこには派手な桃色の羽根を纏った巨体な男がいた。

別に太っているわけではない
身長が高すぎるのだ
170ちょいの自分が小さく見える
男はサングラスを掛け、いつも意地の悪い顔をしてにやにやと笑っている。
まるで人を馬鹿にでもしているように至極楽しそうに

「…ドンキホーテ…ドフラミンゴ」

「『様』はつけなくて良いのか?上司に叱られちまうぜ?」

「……七武海の一人ともあろう元海賊『様』が私に何のご用でしょうか」

男は楽しそうに笑った
一体何が楽しいと言うのだろうか。
自分には理解出来ない

肩にかけられた手を払い
眼鏡をクイッと上げながら冷ややかに男を見つめた

ドンキホーテ・ドフラミンゴ
王下七武海の一人
元3億4000万ベリーの海賊
大嫌いな男だ
癪に触るというか

「ジジイ共に苛められたのか?んん?」

「…ご冗談を」

一目見た瞬間思ったのだ
この男とは上手くやっていけない
関わらないのが賢明だと

さっさとこの場を立ち去りたかった
だが眼前に立つこの男が邪魔で去ることが出来ない

グレンは窓を閉め
兎に角この場を去ることを考えた

厭らしい笑顔で見下してくるドフラミンゴをグレンはキッと睨み付けた

「…そこを退いて頂けますか。私は執務に戻らなければいけませんので」

「そう固い事言うなよ、仔猫ちゃん」

苛立ちが更にヒートアップしそうだった
何なんだ、この男は!
人を馬鹿にしているのか?

眉間に皺が自然と寄ってしまう
そんな時にぐいと顎を掴まれ、簡単に眼鏡を取られてしまった

ぼやける視界に苛立ちは募る

「ちょっ…返して下さい!」

「怒った顔も可愛いじゃねぇか。」

ドフラミンゴはそう言うと眼鏡を持った左手を高く挙げた

『約3mある男に腕を高く挙げられて取り返せるわけねぇじゃねぇか!!一体何食ったらこうなんだよ』

それでも取り返そうと手を伸ばしてみるがやはり無謀というもので。

「ドフラミンゴ様、いい加減返して下さい…っ!」

至極楽しいのか
フッフッフと笑い声が頭上から聞こえてくるので流石のグレンも声に怒りが隠せない。

「良い目だ、血みてぇに赤いな」

「……生まれつきです。眼鏡返して下さい」

「フッフッフ。強気な奴は嫌いじゃねぇぜ?美人も嫌いじゃねぇ」

駄目だ
この頭もピンクなこの男には会話が成立するという言葉は通じないのか。

「………何ですか」

しかも行動も唐突すぎて訳が分からない
眼鏡を持った手をスッと腰に回し、顔を覗き込んで来た

「こんなムサイ場所にあんたみたいな別嬪は勿体ねぇなぁ」

「…私は研究の為にここにいます。別に顔で食べてる訳ではありませんから」

「が、上のジジイ共のいちゃもんでそれも自由に出来ない…と。」

思わず目を見開いてしまった
何故この男がそれを知っている

「……どうしてそれを。」

「俺は何でも知ってるぜ?仔猫ちゃんの事ならな」

「っ…離せ!俺に触るな!!」

怒りの限界が来てしまった
怒鳴って睨み付けると
うすぼんやりとした視界越しにドフラミンゴが薄気味悪い笑みを浮かべながら喉を鳴らしているのが分かった
壁に押し付けられている力が強くなる

「クザン…だっけな。あんた、その大将と付き合ってるんだろ?」

怖い
正直そう思った

何故そんな事を知っている?
部下は信頼出来る奴らばかりだ
絶対口を滑らすわけもない

つる中将も然り
ならクザン大将が?
いやまさか

「フッフッフ…図星か?」

「どうして…それを」

「さぁ?どうしてだろうなぁ」

やばい
至極心臓が痛くなってきた

「バラすなよ」
「それは約束出来ねぇなあ。うっかり口が滑るかもしれない」


顔を覗き込んで来る男を目を見開いて見つめるしか出来ない

落ち着け落ち着け落ち着け!

でももしこいつが口を滑らし
クザン大将との関係が公に出ればどうなる?

そう考えると落ち着けなかった

「…頼む、ばらさないでくれ。」
「それにはそれの頼み方があるだろう?」

首筋に男の指が這っていく
びくりと体を揺らせば、ドフラミンゴは楽しそうに笑った

「敏感だな…フッフッフ。調教済みか?」

「…っ!」

殴ってやりたかった
だが、下手な事をすればどうなるか分からない

「お願い…します。………」「よく聞こえねぇな」

「お願いします。クザン大将と俺の関係を公言しないで…下さい」
屈辱だ唇を噛みしめ、その屈辱に耐えるグレン

目を瞑り、冷静になろうとした。

その時だった
黒い影がグレンを覆った
唇を塞がれた

眼前の薄気味悪い笑みを浮かべた男に

「んん!?…んぅ…んっ!!」

無理矢理の口づけ
口内に潜り込んでくるぬるりとした長い舌が掻き回してくる

歯の一本一本までもに舌が這いずり、そして舌に絡ませてくるのだ

「んんぅ!!…んっ…んふ」

微かな抵抗で舌を追い出そうと試みるが
出ていくどころか、音を発てて絡めてくる次第だ

唾液が絡まる音が厭らしくて
無意識に顔を赤くしてしまった。

長い口づけだ
生暖かい柔らかな感触
あの人じゃない
あの人じゃ…ないのに!

「はっ…ぁ…はぁ…はぁ」

酸欠気味だ
荒い呼吸を繰り返し、手の甲で拭う

「こっちはてんで駄目だな?仔猫ちゃん」
「…くっ…うるさい!」

逃げ出したい
こんないつ誰が来るか分からない場所で
こんな男と口づけてしまった

無理矢理とは言え
なんとも言えぬ後悔の念が走り掛けてくる

「…離せっ」
「嫌だと言ったら?…俺は口を滑らすかもしらねぇぜ。」

「卑怯者…!」
「俺は海賊だからな」

「…何が目的だ」
「フッフッフ…性欲の捌け口ってのは面白そうじゃねぇか。俺の飼い猫になるか?そしたら黙っててやるよ」


恐喝
命令
今の自分にはそれらに聞こえた。

自分が我慢すれば
クザン大将の出世に影響しないですむ

…なら、良いか。

「良いだろう。…ドンキホーテ・ドフラミンゴ、取引だ。お前の性欲処理の捌け口になってやる、だが秘密はばらすな…絶対」

腰に回された手が
厭らしく背筋をなぞり、項から後頭部に回される。

グレンはそれをびくりと体を震わせながら目を瞑った。

「そんなんじゃ最後まで持たねぇぜ」
「…五月蝿い…っ」

再び唇を奪われた
手慣れた動作
顎を掴む手
髪に指を絡ませてくる
眼鏡は床に落ちたようだ


この感触は
匂いは
仕草は
彼じゃない
嫌だ嫌だ嫌だ!
逃げ出したい
走って走って逃げたい

でも
逃げれない
あの人の道が塞がってしまう
未来が
なくなってしまう

守らなければ
例え壊れた人形のように捨てられても
俺があの人の未来を守る。

『秘密はいつだって闇の中』
.













*アトガキ*
久しぶりの更新でなんかぐたぐたですみません。
椿です(´`;)

これはクザン主の『もしも』シリーズな感じで見てもらえたら嬉しいです。
こんなルートもあったかもしれないというシリーズです
今回はドフラミンゴさんがお相手です

いやはや話し方よく分からない(笑)
あの人どんなしゃべり方してたかな?って感じで書いてました

とにかくこの主人公に作者持身愛着があるので
彼には色々やってもらいます(笑)

続編は書こうと予定中
裏になると思われます(´ω`)
大将三人×クザン主の4Pも書いてみたいのですが思案中です
青雉とのらぶも書きたいのですがまだ思案中です(笑)

時間があれば書きたいですねWW
何かありましたら掲示板にどうぞ!
もうすぐ拍手設置しようと思っているので是非そちらもよろしくお願いします。

では失礼します

椿

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