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幸せな時間♭【もしパロ/三大将逆ハーなボルサリーノ内縁妻設定】



「お…お…」
「お?」

「幼妻を貰ったって本当か!?」

それは同僚からの一言から始まった。





【幸せな時間】








「幼妻って…言っても内縁だけどねぇ〜」
「よし、今日あんたの家に行く。花の顔(かんばせ)見せやがれ」

いつものだるっとした顔は何処へやら、とツッコミそうになったボルサリーノはどこで情報を仕入れたのか知らないがクザンが自分の“幼妻”を知ったのかを聞き出すことにした。

出来るだけ内密にしたいことだ。
触れ回って貰ってはたまらない。
もう一人の同僚にも既にバレているのだから。

「いいかぃ、くれぐれも内密にねぇ〜」
「分かってるって」

となれば、さっさと仕事を終わらせてボルサリーノの自宅へ。
二人は海上の別の軍艦の上で電伝虫の受話器を同時に切り、眼前の海賊船に攻撃の令をだした。

確かにもう一週間、家に帰っていない。
さっさと帰って抱きしめてやろう。








ーーーーーーーーーーーーーー


「すみません、サカズキのおじ様。わざわざ寄って下さって」
「ここへ寄ったのはついでじゃけぇ、気にするな」

ボルサリーノが手入れしていた盆栽の鉢を誤って割ってしまったとかで新しいのを買ったから手を入れてほしいと頼まれたサカズキは枝ぶりを見ながら鋏をいれていた。

「ではお茶を淹れますね。ゆっくりしていってくださいな」

フジは縁側に腰掛けたサカズキに微笑むと席を立った。
濃紺に紫や赤紫、桃色の朝顔の柄が鮮やかな浴衣に紫の帯を締めたフジが居間の卓袱台の前に正座し、茶の用意をしている姿がなんだか安堵を誘った。

フジは五年前、親や仲間を殺されて天竜人一家にその美貌から迫られ、海軍に助けを求めに来た。
まだ幼い少女のような可憐な少年をなんの気まぐれかボルサリーノが匿った。
そしてここに住まわせ、どの流れでこの展開になったのかは知らないが…つい最近内縁の妻として一緒に住んでいる。

内縁に正式もあるものかとは思うが、この美女ならぬ齢十八の少年は自分達と同じ男。
生憎同性婚は認められてはいないので事実上は他人同士。
養子縁組ともボルサリーノは考えたのだが書類の契約を交わすと気まぐれな天竜人に気づかれるかもしれないとそちらは諦めたのだ。

だが、彼らは本気で好きあっている。
機から見れば仲睦まじい年の差夫婦にも見える。その前に親子にも見えるが…それにこれは一部の人間しか知らない。

「なんですか?そんなに見られては手元が狂ってしまいますよ、おじ様」
「…あぁ、すまんかったの」

ぱちりぱちりと盆栽の枝の手入れをしながらサカズキはまた視線を盆栽へ移した。

「あ、今夜ボルサリーノさんが久しぶりに帰ってくるのでご馳走を作るんです。良かったら食べていかれませんか?」
「えぇんかいの…あいつはすぐ妬く」

「大丈夫ですよ、沢山作りますから。それにご馳走は大勢で楽しんだ方が良いし、盆栽の手入れのお礼もしないと…おじさまが嫌だと言うのであれば無理には……」
「嫌とは言っとらん」

こんな顔されたら断れるわけがない。
海軍内では恐れられているサカズキも顔なしだ。

「ふふ…っ」
フジは軽く微笑んで蒸らした茶を湯呑みへ注ぎ、それをサカズキの側へ置くと台所へと置いてあった白の割烹着を手に行ってしまった。

時間がゆっくりと流れている。
こんな心穏やかな時は何年ぶりだろう。

そんな時だった。
がらりと玄関の扉が開いた音がしたのだ。
そして足音が二つ、玄関先でなにか言い争うようにして荒々しく入ってきた。
ボルサリーノとクザンである。

「まぁ、おかえりなさい。」
「今帰ったよぉ〜…変わりないかぃ?」

クザンをよそにボルサリーノはフジに近づいて腰に手を回し、額に口付けた。
一度だけではない、何度でも優しく額に頬に鼻筋にと口付けるのでその度にフジの白い首筋が赤く色づいていくのを二人は傍観していた。

「あのね、お楽しみ中邪魔するけど俺らもいるんでね。」
「おや、そいつは悪かったねぇ〜。可愛くてつい」

真っ赤に顔を染めたフジは羞恥を隠すために黙って包丁をとり、まな板に乗せた野菜に刃をいれた。

「他にもお客様がい…いらっしゃるなら、ボルサリーノさん連絡一つ下さいな。」
「そいつは悪かったねぇ…でも、サカズキが来てるとはわっしは知らなかったよぉ〜」

「そ、それは…あのですね」
包丁を持つ手を一旦止めて、向き直ったフジは頭を下げた。

「ごめんなさい、あなたが留守の間に水をやってたら袖が擦れて落としてしまって…それで新しいものを買って、サカズキのおじさまに剪定してもらっていたんです。」
「そうかぃ〜、怪我は?」

「いえ、怪我はありませんが…ボルサリーノさんが大事に育てていた鉢の代わりを探したのですが良いものが見つからず」
「怪我がないならいいよぉ〜、別に大したものじゃないからね」

あなた、お前、的な視線を絡ませる彼らに二人はなんとも言えぬ心地だった。

「フジちゃん、こいつが好きなのはよーく分かったから。お茶くれない?」
「あ、はい!すぐに淹れます。」

フジは手を割烹着の裾で拭うとヤカンに水を淹れてコンロに火をつけた。

「クザン、人の嫁を顎で使うんじゃないよぉ〜」
「フジちゃんと俺の仲だからいいじゃない」
「今初めて会っただろうが」

フジはこの家に海軍本部の三大将と豪華な面子が揃ったことにふと気づくとなんだか妙な緊張感に襲われた。

サカズキのおじさまはたまにボルサリーノさんがいない時に手土産一つ持って来てくれるのでよく知っているが、
クザン様は今日初めて会ったのにどうして自分の名前を知っているのだろう?
ボルサリーノさんが話したのか?
だとしたら変なことを話していなければよいが…。

「おい、ボルサリーノ…ありゃあ犯罪だろ。一体幾つだって?」
「今年19だったかねぇ〜」

「そんな子供の年でもおかしくないような幼気な子を…」
「わっしが悪人か変態とでも言いたげじゃないかぃ〜、クザン」

「どう見ても変態だろ、あんな可愛い生き物と一緒の布団で寝てなにもしない男…いる?」
「やることはやってるよ〜」

やってるんかい!とばかりにツッコミたかったクザンは自分のキャラではないと溜め息を着くことで落ち着かせた。

台所でフジが作業している小さな後ろ姿を見ているとついつい襟から覗く項や男にしては肉付きのいい臀部を見てしまうのは仕方がない。あれが男とは…人類の神秘を感じた。

あの若い身体を夜毎好きに…と考えただけで年甲斐もなく生唾ものである。

「…因みに週何回くらい?」
「それは酒がないと話せないネタだねぇ」

フジはそんな会話も他所に天ぷらを揚げるのに集中していた。
今夜は四人分作らなければならない。
効率よく作らなくては時間が遅くなる。
そんなことを考えていたのだった。








ーーーーーーーーーーーーーー

フジが作った料理はどれも美味なものだった。

海老や白身魚、野菜の天ぷら、自分で捌いた造りの盛り合わせや赤だしの味噌汁、筑前煮、ばらちらしと…まさにワノ国料理がてんこ盛りである。
お祝いごとかなにかか?とツッコミたくなる豪勢な料理が丸いちゃぶ台の上に所狭しと乗り、それをフジが小皿に取り分けてにこにこと微笑んでいる。

「少し張り切り過ぎまして…」
「これまた豪勢だねぇ〜」

「魚屋さんや八百屋さんがとても安くしてくれたんですよ。良い町ですよね、ここは。」

大方、フジが美人だからまけたというのもあるだろう。
家計は全てボルサリーノが出している、と言ってもフジは質素倹約に生活するよう心がけていた。

「ボルサリーノさん、最近お仕事が忙しくて帰ってらっしゃらないから久しぶりにまともな食事を作った気がします。」

もともと食が細いフジは料理を作る際にちょこちょこ味見程度に摘むだけで胃は満足するようで1人の時は適当に作ったものを何日かに分けて保存しながら食べるのだ

冷やしていた枝豆に塩を振り、持ってくるとフジはボルサリーノの隣に座った。
割烹着を畳み、膝に乗せて正座をするフジの小さな頭をボルサリーノがぽんぽんと撫でる。

それだけで、幸せ。と言わんばかりに目を細めて微笑むフジにボルサリーノにも笑みがこぼれる。

『イチャコラするようなキャラだっけか?』
クザンは口にフジの作った手料理を突っ込んでは咀嚼、と繰り返しながら二人を見ていた。
クザンの隣のサカズキは黙って冷酒を飲んでは枝豆という繰り返しである。
多分顔には出ていないが内心同じようなことを考えているのだろう。

「あ、お酒もっと持ってきますね。水割りでも作りましょうか?」
「別に足りとるけぇ、座っとれ。」

空になったサカズキの小さな硝子のお猪口に冷酒を注いで、手持ち無沙汰になっていたフジにクザンが口を開いた。

「フジちゃんはさ、こいつのどこが良かったわけ?年の差、親子くらいあるでしょ?」
「そう、ですね…。五年前、この人に助けられて…この家で住ませてもらうようになってから色々見えてきたんです。」

「ほぉ…」
「確かに年は大分離れてるのに時々子供っぽい所があるし、いつもとても気遣ってくれます。一緒に生活していて、この人と生きたいと思ったんです。」

とても清らかな笑顔に見えた。
幸せに満ちた笑顔が端正な顔立ちに彩られている。
そんなフジの隣にボルサリーノがいると思うと二人の内心はなんとも言えぬ心地になった。

「この人が好きだから、傍にいたいと思ったのです。」
苛立ちにも似た感情、どうしてこんな感情が芽生えるのか。嫉妬にも似たこの感覚

二人はきりりと冷えた冷酒を飲み干した。
この感情すら飲み下せるようにと

「で…おたくらどの位ヤッてるわけ?ボルサリーノ、あんたも年だろ?今いくつだっけ」
「お前はそれしか聞くことないのかぃ…」
「フジ、水割り頼む」
「はい、すぐ用意しますね。クザンさんもあなたも何かおかわりお持ちしましょうか?」

今は深く考えずとも良い。

「じゃあ…飲み明かしますか」
「勝手に一人でやってなよぉ〜。わっしは夜はやることがあるんでね。」
「…。」

この平和な時間がゆるりと流れているのだから。

「皆様、仲良しですね。」
「「「どこが(じゃ)(〜)!」」」

『犬猿雉とお姫様が一人』
.

(仲良く幸せな食卓を囲みましたとさ)


*あとかぎ*
久しぶりの更新です。
まさかの『もしパロ』でございました。椿です。
いつも薄幸なロー主のフジ君をまさかのシリーズでは憎き海軍の犬(猿?)なボルサリーノさんのお嫁さんにしてしまいました!笑
お嫁さんとは違うのか…内縁妻?でも男の娘なので細かいことは気にしない!な設定でいきました。もしもパロディーなので細かいことは気にしないで下さい(^^;
完全管理人の趣味です。
人様のものっていうのに惹かれるのです。背徳感がたまりません。ドロドロ感が昼ドラ的で好きです。
皆様の感想次第ですが続編を…裏で考えていたりします。というか書いてます。でも人気がなかったらお蔵入りかな。
以上です!また何かありましたら拍手or掲示板にどうぞ!

椿


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