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Episode-0 この狭い鳥籠の中で(後半)*【シリアス/モブキャラ出演/暴力・裏内容含みます】
※裏内容含みます。
高校生含む未成年はご遠慮下さいm(__)m


























執事に連れていかれたのは『遊戯室』と呼ばれる部屋だった。
壁一面にある大きな水槽が特徴的な部屋だ
色鮮やかな魚や珊瑚がサファイアブルーに輝く水槽で静かに揺れている
豪華な大きなシャンデリアが照らし出す部屋は大理石の白い床にベルベットの赤い絨毯
大きなキングサイズの長椅子にサイドテーブルが置いてあるだけの部屋だ。

長椅子には深夜にも関わらず、チャルロス聖、シャルリア宮、ロズワード聖…ロズワード一家が勢揃いしていた。

フジは三人が座る長椅子の前に正座をさせられている。
固い大理石の床の感触が足から伝わってくる
身体全体にその冷たさも伝わる

「フジも懲りないアマスね」

一番最初に声を発したのはシャルリア宮だった。
関係としては『義妹』に該当する、世界貴族の若い娘
シャルリア宮は床に座ったフジを長椅子から冷たく見下ろした

「『あれ』とは一体どういう関係アマス?」
「…サクは一座の仲間で幼馴染みです。」

その声色も恐ろしく冷たい
絶対に守る
最後に残ったたった一つの光なのだ
フジは膝の上に置いていた手を強く握りしめた。
シャルリア宮の言葉にフジの態度は決して屈してはいない

「仲間を解放してください。私はそれだけを望みます。…どうか、お願いします」

切実な願いだった。
この数年ひたすらにそれだけを懸命に願ってきた
三つ指をつき、深々と頭を下げるフジの姿は心臓が締め付けられる程に懸命で悲しい
そこに慈悲や良心があれば、その願いは聞き届けられたかもしれない
相手が救いようがない人間でなければの話だ

「フジ」

グィッ!!

優しい声色で名を呼ばれたと同時に鋭い痛みが頭に走った。
髪を強く引っ張られているのだ

髪を伸ばすように強要されているのは見た目の為だけではない。
こうして、簡単に征服した気になれるからだ

なんて邪魔なんだろう

「っつ…ぅ……くっ…!」
「むかつくアマス…フジはあんなクズが好きアマスか?」

みしりと髪が悲鳴を上げた。
目を瞑り、痛みに顔を歪めているとシャルリアが顔を覗きこんでくる

「フジ、どうアマス?あれは命を賭ける程の人間アマスか?」
「………はい…っ」

次の瞬間には頬に激しい痛みとバシッ!!と乾いた音がしたかと思えば、突き放された。
絨毯越しに固い大理石に体を叩きつけられる

「気にくわない…っ気にくわないアマスっ!お前は私達だけを見ていれば良いアマス!!」

ガッ…ガッ!!

続いて背中を蹴られる
尖ったヒールが薄いフジの身体に食い込み、痣を作っていく

この人達はいつもそうだ
暴力と権力で縛り付ける
こんなにも執着するのは何故だ?
美しい女なら世界貴族にも沢山いる
何故、僕なんだろうか

息を乱しながら蹴る足を止めて、肩で大きく呼吸をするシャルリア宮は苦痛に顔をしかめているフジは思った。

しかし、これでサクや他の皆が助かるなら…堪えるしかない

「シャルリア、顔は駄目だえ…不細工になったら困るえ」
ロズワード聖の一言にシャルリア宮は息を乱しながら言い放った。

「…っ、そんなに好きなら……あれを此処へ連れてくるアマス!!」
「かしこまりました。」

シャルリア宮の一言に控えていた執事が部屋を出た。

「フジ、悪い子には『お仕置き』アマス。その淫乱な体には痛みも快楽も嫌と言うほど染み込んでいるから…どうせ、気持ちいいだけアマス」

彼女は気持ちが悪いくらい執着している
彼女だけじゃない、チャルロス聖も…ロズワード聖も他の貴族達も
痛めつけ、苦痛に叫ぶその姿を嬉々として見るのが好きなのだ。


…だが、それよりも怖いことがある
身体的な痛みは耐えれば良い
問題は精神的な苦痛である。

この一家は歪んだ娯楽を沢山持っている
そして残酷な仕打ちをする
大事に水をやっている花を、簡単に摘み取ってしまうようなことをすぐやってしまう

「皆様方、連れて参りました。」
執事が数分後戻ってきた時に
後ろに控えていたのは

「……サク」
「フジ…」

彼だった。
幼馴染みの一座の仲間、サクだった

「何故……彼が」
「お前に効く一番のお仕置きは分かってるアマス。」

殴っても蹴っても犯し尽くしても、その心が屈指ることはない
腹立たしい事にその目は光を失わない
何度奈落に突き落とすような凌辱の限りをしようが
この薄紫色の目は一向に光を失うことはない


何とも強か
何とも眩いことか
高潔で清廉としたその心の在り方が内から滲み出ている

美しいだけではつまらない
そんなもの幾らでもいるし、どこにでもいる
が、これ程までに美しい『心』を持った、美しい男などそうはいない

女の格好をしても、更に美しく輝くだけ
見る者全てを惹き付ける。
いとおしいこそ…憎らしい

「ここで…こいつと交わるアマス」

だからこそ叩き落としたくなる
這い上がってくるからこそ、汚して汚して…地の底まで落としてやりたいのだ
最高の玩具だ

下卑た笑みを浮かべた三人の世界貴族達の内にある歪んだ考えなどフジは知るよしもない

「お許しを…そんな」


心が叫んでいた

やめて
お願い
希望の光、その一筋すら奪ってしまうのか

胸が押し潰されそうだ
苦しい

手錠をしたままのサクが引きずられるように近くまで連れてこられた
視線が混じりあう
黒い眼差しが動揺に揺れている。
それはきっと自分もだろう
幼馴染みであり仲間であり親友の彼と、まぐわえと言うのか

「お止めください…それだけは」

フジは首を振った
倒れた体を起こして立ち上がった
頭一つ分身丈の高いサクを背に訴えるしかなかった

「それは許さないアマス」
「フジ、逆らうのかえ?」
「なら、残りの女達を剥製にしてしまうえ。」

腹をくくるしかないのか
フジは唇を噛み締めて、握り拳をきつく握り締める

「…っ……」

どんなことをしても生きると誓ったのだ
皆と、そして自分と
仲間を守ると死に逝く父に、仲間に誓った

「……仰せのままに」


サクの方を振り向いた
近付き、顔が近づくまでに歩み寄るとなにも言わずに唇を重ねた。

サクの唇はガサガサと乾いていて荒れていた
口の端が切れて血が滲んでいる。
口にうすらと血の味が残るが別に嫌ではなかった

それでもこの場所では
何よりも温かで、生きた心地がした気がしたからかもしれない。


「サク…ッ」

ごめんなさい、ごめんなさいと何度も心の中で謝罪をする
でも口づけはそれに反して深くなる一方だ

「…ごめんなさい」

その前に口に出して小さく謝った
サクも小さく呟いた

謝るな。その一言が終わればまた口づけをした
傷だらけの頬を手で包んで
精一杯背伸びをした
サクは微笑んでくれた

謝るなとでも言いたげに…それは悲しそうな微笑みだった

互いに額をくっつけ
声もなく笑った

どちらもが自由を求めながらも
心の奥底では諦めているのだ
この檻の扉は開かないと知っている















「っ…ん!」
「はっ…」

互いの息遣いが近くに感じる気がした
これだけ近いのは舞台の稽古位だったが、今はこんなにも近くに感じる

裸同然で互いに向き合うように座り、フジはサクの首に自分の腕を絡ませた。

なんとも淫猥で
なんとも濃密な情事であったことか

しなやかな柳腰に手を回し、その腰が降りてくるたびに杭を打ち付けるように動くと端正な顔に快楽の色が色づき、歪む

喘ぐ声は男にしては高く、決して不愉快なものではない
唇を噛み締め、堪らず声が吐息とともに口から溢れるたびに目をとろりと潤ませる姿は愛らしい

噎せ返る程の色
とても男同士のまぐわいとは思えなかった

「サク…ッ…つぅ…はっ!だめ…そこはっ」
「此処か…」
サクがフジの前立腺をぐりっと抉るとフジは水から飛び出た魚のように跳ねる

男の体とは不思議なものだ
排泄器官に性器を突き立てる、普通ならあり得ないような行為でも
慣らせばそれは立派な性器といえる場所になる

フジはこの5年でその体はまるで女のように仕込まれ、変わっていた。

女のようにといっても女のように子を孕むわけではないし、胸に女特有の膨らみなどあるわけもないが、それでも普通の男ではないものに変えられていた。

薄い胸の先端は薄い紅色にしこり
男だと分かる胯間のそれは薄桃色の可愛らしい色とは裏腹に痛いほどそそり立ち、先走りで濡れている

作り物の玩具など屁ではない。
後孔をしっかりと互いの先走りや唾液で濡らせばそこはなんら女と変わりはない
そして、一番感じる場所は皮肉な事に男でなければ届かぬ場所にあるのだ。

サクはフジの腰を深く、自分の性器で突き立てるように腰を揺らす

「あぁっ!!…やっ…サク!!」

堪らず声が上がるフジの姿は酷く焦燥させる

フジの手が首から背中に移り、掻き抱くと爪を背中に思わず突き立ててしまったらしく
フジは目を大きく見開いた

「っ…」
「ごめ…ごめんなさい」

綺麗に伸びたフジの爪は痛い
猫のそれよりはましだったが、背中にはきっと赤い引っ掻き傷ができているだろう

だが他の傷同様、それも気にならなくなる
フジの額に口づけると、フジもサクの額に口づけた

幼馴染み同士で役者同士
別に互いに恋愛関係もないし、友達としての感情はあってもそれ以上の感情はない


「フジ…大丈夫か?」
「…はっ…うん」

後孔を抜き差しされるそれは固く、肉を裂かれ貫かれる感触が気持ち良いなどと感じるようになったのか

それが親友であってもこの身体は感じてしまう
フジは自分の身体が嫌になった

「…っく」

娼婦になった気分だ
いや、男娼と言った方がいいのか
違う
彼らは自らの身体で生計を立てている
芸人も同じだ
自らの芸を披露することでその評価を頂く
私はなんだ?
無様に足を広げ、親友と交じりあえと命令され素直に従って…また笑うだけだ

頭がおかしくなりそうだ
狂ってしまった方が楽なのかもしれない

「んっ…は」
「フジ…く…っ!!」

後孔に放たれた感触、サクが達したのだ
自分は意外にも冷静で引き抜かれた孔から、ぐっと力を腹に込めると白濁液がどろりと伝う

「なに、もう終わりかえ?」
「可哀想に…フジは厭らしい子だからこんな塵のじゃイケなかったアマスね」

夫のチャルロス聖が酒を呑みながらこちらを見ると
シャルリア宮がこちらへ近付き、サクを蹴り倒した

ドンッ

「ぐっ…!」
「お…お止めください!!シャルリア宮」

情事後の身体は疲労していた
サクは朝から晩まで肉体労働を強いられた挙げ句のこれである
自分よりずっと疲れているし、ぼろぼろなのだ

そんなことはよそにシャルリア宮はサクの身体に足をかけて、こちらを見る

「フジ、大丈夫アマス。チャルロス兄さまがお前に飽きたら私が飼ってあげるアマス」

にこりと笑うシャルリア宮の言葉に全身が鋭い刃に貫かれたようだった
フジのまだ先走りで滴る性器を手で掴むとしごき始めた
 


「…っ…あ、…駄目です…っもうお許しを」
「許してあげないアマス…ほら、執事。フジの中を綺麗にするアマス」
「どれ…綺麗になったら抱いてやるかえ」
「お父上様、フジはわちしのだえ。わちしが満足させますえ!」

もう狂ってしまいたい
誰か殺してくれ
でも生きたい
生きたいのに、あまりにも現実は酷なのだ
これは試練なんかじゃない
これは地獄の釜の中だ
自分は煮えたぎる釜の中で死ぬことも出来ずにもがき苦しんでいるのだ

自分はなんて無力で
この檻はなんて苦しいんだろう

「…っあぁ…っ!!」

達したくとも、しごくその手は焦れったい動きでフジを生殺し状態に陥れる

その間にフジの後ろに回り込み、まだ白濁液が卑猥に滴り落ちる後孔に指で掻き回す執事の指がまるで愛撫のように動くのをサクはただ、疲れきった身体を横たわらせて傍観するしかなかった


「…っ……フジ」
「いや…っ見ないでサク!!見ちゃ…っあぁ!!」

「あぁ、勝手にイくなんて…悪い子アマス」
「これは躾が必要だえ」
「シャルリアもお父上様もフジはわちしのだえ!」

その後、行為が終わったのは外がうすぼんやりと明るくなってきた頃だった
そして気を失った後はいつもと同じように自分に与えられた部屋の寝台に清められて眠っていた。

変わらぬ朝がまたやってくる



















-------------

「奥方様」

朝、着替えをし
化粧をされ、髪をとかされて階段を降りていると執事に話し掛けられた

下半身が鉛のように重い、締め付ける帯のせいもあるだろうが背中も痛い

「…何でしょうか」
「もう抵抗なさるのはお止めください。あなたが従順になさっていれば残りの『生き残り』達も少しは長く生きられるでしょう」

「…抵抗せねばのたれ死ぬだけです。私達はまだ諦めません」
「抵抗しても無駄だと早く知る方が利口です」

「それでも諦めたらそれまでです。私は…っ!」
「あなたは『寵姫』、天竜人から寵愛された身であり、世界貴族の社交界の華だ」

「薄汚いその日暮らしの芸人とは格が違うのですよ」

執事の言葉が頭の中で響く

寵姫
愛人、側室、妾を指す言葉
権力者たちに寵愛される者の通称
愛?愛とはなんだ?
慈しみ愛されるとはもっと温かくて優しいものではないのか?
寵愛される者?
愛などどこにもない
只の独占欲じゃないか

社交界の華
自分の髪型や服装は最先端だと周囲がべた褒めしているだけではないか
髪型も服装も彼らの趣味だ
この長い髪を切ることすら私は許されていない
指先の色でさえ、彼らの言いなりだ

身体を売る女たちよりもっと酷い身分じゃないか…寵姫とは

気が狂いそうだ、大声で叫びたい
『この世界は狂っている』と
それでも叫べないのが自分の悪いところだ

「さぁ、皆様お待ちかねです。参りましょう」
「……はい」

コツ コツと階段を降りながら自分の手を見下ろした

苦労を知らない手
指先はつるつると丁寧に磨かれて紅色のマニキュアが塗られている
まるでそれは滴り落ちる血のようで目を反らしてしまった

反らした視線の先には『飼い主達』が笑っていた

『狂ってる』
『それでも…諦めたらその時僕は』
『生きなければならない』
『死ぬことは許されない』

自分は生かされている
愛玩人形のように着飾り
この狭い鳥籠の中で与えられるものを受け入れるのみ

「おぉ〜、フジ。今日も綺麗だえ」

狂ってる暇なんかない
泣いても何も変わらない
生きるしかないのだ

「旦那様、フジは嬉しゅうございます。」

それがきっと自分に与えられた罰なのだ
出口は見えても広い世界へ飛び立てずに飼い殺される鳥のように

(この狭い鳥籠の中で)
『もがきながら、それでもまだあの青空の果てに夢を見る』
.


*アトガキ*
はい!!長くなりましたがこれで『Episode-0』終了です。
裏内容ぬるくてすみません
というか文章能力低くてすみません
ついでにオリキャラ&ザコキャラ使用すみません
取り合えず書き終えて平謝りしておきますorz

フジ君は中々に不幸体質ですね^^;
書いておきながらあれですが…(笑)
天竜人について知ってる知識が少ないので原作でもう少し登場してくれたら幅も広がるのですが…あんまでてこなさそう

この話が雲雀シリーズの@に繋がっていきますのでそれも踏まえて読んでいただければ幸いです
感想などありましたら励みになりますので拍手or掲示板にどうぞ!
それでは失礼します

椿



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