わんわんお。 初めての○、リミテッド。 *side翼* 「ここが今日から君の部屋だよ。そのカードキーを使って入るんだ。スライドさせれば開くから。…説明はこのくらいかな。それじゃあ翼、またあとで。」 「ああ!ありがとな、美鶴!」 説明をひとしきりして、美鶴は行っちまった。 …本当は今頃、みんなと楽しくやってるはずだったんだけど… この間やんちゃしちまったせいで退学。叔父さんが理事長やってるこの学園に裏口入学?とやらで入れてもらった。 こんな筈じゃなかったんだけどなあ… まあ、嘆いてる暇はないよな!こっちでも頑張らないと。 表札を見ると、俺の名前と、同室者の吉河春って名前。 …き、緊張してきた…。 春、か…どんなやつなんだろう…。 てか、読み方はるでいいんだよな… 「…よし、開けるぞ…」 誰に言うでもなく呟く。 カードキーを言われた通りスライドさせると、ピピッと小さく音がして、扉が開いた。 …やっぱり、金持ちは考えることが違うな…はあ。 「お、おじゃましまーす…?」 部屋の中はしん…と静かだ。 柄にもなく、緊張しちまった。 「…誰も、居ないのか…?」 奥の扉…恐らく居間の部屋のを開けて、呟くと カタンッ! 「!?…なっ…」 何か落ちる音と、呼吸をする音が聞こえた。 音はどでかいテレビの手前にあるソファーから。 …寝てんのか…? そろそろと呼吸の主の居るだろうソファーへと近づいてみる。 「…………………………。」 それで、覗き込んだ。 俺は 「う…わ…」 しばらく呼吸をするのを忘れた。 そこには、 ソファーのうえに女の子が丸まっていた。 …女の子? …ちょ、ちょっと待てよ…忘れんなよ蒼空翼!!ここは男子校…しかも全寮制の。女の子が居るはずない! …ってことは、 「男…?こんな、可愛いのに…?」 いくら可愛くても男は今までは見分けられた。 でも、そんな次元じゃない… もしかしたらコイツが…起きてたら話は別だったかも…。 …髪を触る。 ふわふわで、さらさらした真っ黒のねこっ毛。 …ほっぺを触る。 すべすべしてて、みずみずしい桃みたいだ。薄く桃色に染まってる。 伏せられた睫毛は長い。 俺が触ると、彼(多分、そうだよな?)は幸せそうに、くすぐったそうに身をよじる。 「わ…ぁ…」 俺は、 初めて、恋と言うものをした。 . [*唸る][吼える#] [戻る] |