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嬉しさと残酷の共存[荒川UTB*シスター夢]
まえおき
等式にすると
ヒロイン&ステラ→シスター→マリア
こんな感じ。
ヒロインちゃんの切ない一方通行、名前変換無しです。











すっかり日が落ち、夜も更けてきた橋の下。その夜闇の中で一つだけ明かりのついている協会の台所にはほんのりと甘い匂いが漂っていた。

布団から起き出し、匂いにつられ台所へと向かうとシスターがクッキーの生地をを作っていた。彼がそれを焼くのは大抵が昼間なので珍しく思って側へ歩み寄ると、少しだけ驚いた表情を見せる


「まだ起きていたのか」

「良い匂いがするものですから。……そういえば今日はずっとリクや村長達といましたね」

「あぁ、俺としたことが昼間作るのを忘れていてな。もう遅いから起こさないでおいたのだが」

「無理ですよ。女の子はこういう匂いに弱いんです」

気遣ってくれているのを嬉しくも辛く感じながらと無理に小さな笑い声を作った



ステラちゃんがシスターを好いていることは知っている
シスターがマリアさんを好いていることも知っている

それでも私は彼に想いを寄せる


勝ち目の無い恋なのだ。

そう誰かが私に言い聞かせてくるように、時々ちくりと胸が痛む
それは大抵は彼と一緒に居る時で。

二人と張り合うつもりも、それだけの度胸も気力も持ち合わせてはいないけれど――





材料を適度に混ぜ合わされ、重くなった生地をボウルから取り出し適度な大きさに丸く形作っていくのを側で眺めながら口を開く


「私はシスターみたいに美味しいクッキーは焼けませんけど」


そもそもあのクッキーは貴方が捏ねるから美味しいんですよ。



「でも、少しくらいはお手伝いさせてください」


気なんて遣わなくていいんですよ
いつも私たちのためにありがとう

…なんて、そんなことは言わないけれど。




「…そうか。なら形を整えるのを手伝ってくれるか?」

「えぇ、喜んで。」


そして私は大好きな只一人に向けてにっこりと微笑みかけた
先程よりも少し強くなった痛みを感じながら。






そっと、貴方の傍らに居ること
只それだけでいいんです

だから今日も私は彼とクッキーを焼くの






ほんの少しだけの喜びの為に
最も残酷な道を選ぶのだ


End.



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