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ACT2


真面目に働いてはいる。派遣会社の指定した工場でもう五年目。
正社員に誘われてもいる。

でもそれを断り続けている。


夢を叶えたいし、叶えるつもりだから。譲れない。


夢を叶えるためにはどうしても金が必要だから、生きていくには必要だから、今の仕事をやっている。

どう考えても金以外に自分の利益にはならない、誰でも出来るような仕事に何よりも時間を割く、自分の時間を切り売りする、それが働くということだ。
今の俺にとっては。

今の職場はみんな凄くいい人だし、そういう風に考えることに罪悪感を覚えることはあるけど。

でも、息をすることですら金に変えられる。そんなことが人生だ。





そんな時、

ライアーゲームの誘いが来た。

黒い紙袋に大量の札束が均等に並び、存在感を放っている。

この話は嘘じゃない。
まるで迷惑メールのような荒唐無稽な内容を提示してはいるが。


余りにも馬鹿げていながら、目の前には何より信頼できる金。

戸惑いはあったが、即効手続きを済ましその金を俺は銀行の口座に入れた。


そして、何物かはわからない彼等は、指定した相手から金を奪えばその分還元するという御達示。


相手はタチバナユウミ、という人らしい。

黒い紙のカードに、写真。

タチバナユウミ…………タチバナユウミ?


何だかこの響きには既視感がある。



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