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ACT8



橘さん。
俺の中学、高校時代の憧れのお兄さん。
初めて、お兄さんのライブに行った時は本当に白熱した。

それからプロも含め色々なバンドのライブに行ったりしたけど、お兄さんのライブが一番だった。

お兄さんは、最高にかっこよかった。ギターをかき弾きながら叫ぶようなヴォーカル。喚き散らすような、でも、凄く心、魂に来た、マイクが壊れるんじゃないか、という程、そしてギターも、弦が切れるんじゃないかという程。

観客みんながモッシュも忘れ棒立ち、釘付けになっていた。パンクに夢中な奴らは隙を見ればライブ、モッシュダイブに持ち込もうと思っているのにも関わらず。
聴きいって、見とれていた。
お兄さんのその一挙一動にみんなが夢中になっていた。


こんな人と、家が隣だってだけで仲良く出来てる自分は最高にツイてると思った。


その内、お兄さんは何処かのプロデューサーかなんかに引き抜かれ、都内に行ってしまった。

俺も負けじと、金を貯めて、上京した。


お兄さんのバンドは、先を行っているだろう。

頑張ろう。俺も頑張ろう。

先を……………………………………………




そして、今、そのお兄さんは此処にいる。

髪は短髪の黒髪。服装はモード系で徹底している。
相変わらずオシャレ…………

だけど、それにはパンクのかけらもない。

上京して、一年すると、真実はすぐに分かった。
でも、受け入れたくなかった。
俺は、そんな真実を自分の中で隠蔽した。


お兄さんのバンドは、上手く行かなかった。
お兄さんは、






…………そして、そんなお兄さんが今、目の前にいる。




「…………橘さん、今も音楽、やってるんですか?」


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あきゅろす。
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